WRC2023/02/21

ケニア政府、サファリ・ラリー開催を保証

(c)Toyota

 ケニア・スポーツ庁のアバブ・ナムワンバ長官は、サファリ・ラリーの70周年記念イベントが適切に準備されることを政府として約束、世界ラリー選手権のケニア・ラウンドの開催が脅かされることはないと明言した。

 サファリ・ラリーをめぐる不安説については、この伝説のWRCラウンドの復活における最大の支援者だったウフル・ケニヤッタ前大統領の退任に伴い、昨年9月に新大統領としてウィリアム・ルトが就任した当時から囁かれてきた。

 ルト新大統領によって、前任者のアミナ・モハメドに代わる新しいスポーツ庁長官として指名されたナムワンバは先週、サファリ・ラリーの運営委員会と組織委員会のメンバーを再編する決定を下したことによって、サファリ・ラリーの混乱した状況が表面化することになった。

 さらにサファリ・ラリーを主催するケニア・モータースポーツ連盟(KMSF)がWRCケニア・ラウンドのリハーサルイベントとして開催されていたイクエーター・ラリーをキャンセルしたことによって、4カ月先に迫っていたサファリ・ラリーの開催を危ぶむ声が一気に広がることになった。

 KMSFは、政府からの資金提供が行われないことを理由にイクエーター・ラリーを中止したが、ケニア政府が先週介入し、イクエーター・ラリーの運営をKMSFから新たにシーク・ユニオン・クラブに委託して開催することを断行した。

 ナムワンバ長官は、イクエイター・ラリーがサファリ・ラリーのリハーサルイベントではないにもかかわらずWRC開催の予算が不正利用されていたと指摘、先週金曜日に政府が介入して運営チームを解散、その運営をKMSFから新たにシーク・ユニオン・クラブに移管して開催することになった経緯を説明した。

「イクエイター・ラリーで何が起きているのか、はっきりさせたかった」とナムワンバ長官はケニア・メディアの『デイリーネーション』で語った。

「イクエイター・ラリーはサファリ・ラリーのリハーサルではない。我々は何とか問題を解決し、KMSFに1日だけ計画を立てる猶予を与えた」

 ナムワンバ長官は、WRC開催のための26億ケニアシリング(およそ28億円)の予算に関してKMSFに管理不行き届きがあったとし、問題は財政ではなく、組織の不正は正さなければならないと語った。

「(WRC開催の)予算が不正利用され、おまけに支払われるべきものが支払われていないというのは恥ずべきことだ。これは組織としての不正な行為であり、監査の後、何人かは弁明しなければならないだろう。組織には説明責任がある」

 ナムワンバ長官は、政府としては今年のサファリ・ラリーをより少ない予算で運営することを示唆したが、イベントの成功については約束した。

「予算は正しく新しい組織によって見直されなければならないが、もちろん、サファリ・ラリーの70周年記念イベントについては適切に準備される。昨年の予算は絶対に過剰だった。あの半分以下の支出で成功したラリーを開催できると信じている」

 再編成されたWRCサファリ・ラリー運営委員会と組織委員会には、FIA元副会長のスリンダー・タティが運営委員会にイベントディレクターとして名を連ね、これまでサファリ・ラリーCEOを務めていたKMSF会長のフィニアス・キマティは、ラリードライバーのカール・フラッシュ・ツンドを委員長とする組織委員会のメンバーに降格する人事が発表されている。