ERC2017/08/27

コペツキ、ERCチェコのレグ1をリード

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第6戦バルム・チェコ・ラリー・ズリンは土曜日のレグ1を終えて、シュコダ・モータースポーツのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)が6度目の勝利に向けてリード、骨折のケガから復帰したロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)はブレーキングへの問題を抱えながらも16.6秒差の2位につけている。

 金曜日の夜にズリン市街地で行われたズリン・スペシャル・ステージのベストタイムで首位に立ったコペツキは、土曜日の最初のステージでも連続してベストタイムを奪い、ルクヤヌクとの差を6秒へと広げて6度目の勝利にむけて好スタートを切ることになる。

 しかし、続く11.55kmのSS3でルクヤヌクは6.3秒もコペツキを上回る驚異的なタイムで逆転、首位を奪うことになったが、「できるだけハードにブレーキを踏んでいるが、いくつかのコーナーでは効きが十分ではない。適切なブレーキにならないのが恐くて、慎重に行かざるをえないんだ」と足に問題があると訴える。彼は5月のアクシデントで左足のかかとと右足の脛骨を骨折したあと、長期のリハビリを行ってきたが、痛みがまだ残っており筋力が完全に戻ってないという。

 ルクヤヌクのタイムで火が点いたのはコペツキ。朝のループの最後のステージでベストタイムを奪った彼は1.9秒差でふたたび首位を奪い、サービスへ帰ってくることになった。「これで戦いが終わったわけではない。アレクセイはすごく速い。ベストを尽くすつもりだよ」とコペツキは表情を緩めない。

 ルクヤヌクは午後のループの最初のステージでベストタイムを奪って発進、コペツキとの差を1.1秒へと縮めることになる。だが、ステージの気温が30度をはるかにを超え、照りつける太陽が路面を焦がし、足の筋力に不安を抱える彼は連続するブレーキポイントに手こずることになる。

 ルクヤヌクはSS6でいくつかのコーナーで危ない瞬間に見舞われたあと、スピンで5秒あまりをロス。さらに彼はSS7では長いストレートエンドのコーナーで突然、パワーステアリングが効かないトラブルを抱え、マシンを止めてエンジンをリスタートさせなければならなかったために9秒近くを失い、コペツキから15.2秒遅れとなってしまった。

 ルクヤヌクはこの日最後となるSS9でベストタイムを奪ったものの、この日5回目のベストタイムを奪ったコペツキが16.6秒をリードしてレグ1をリードすることになった。

「アレクセイとのビッグバトルの一日になった。彼はいくつかの問題があったようだが、けっして諦める男ではない」とコペツキは用心しているようだ。「それとともにタイヤにとっても難しい日になった。多くのドライバーが午後のステージでパンクに見舞われたが、幸いにも僕には起こってない。明日も厳しい日になるが、クリーンに行かなければならない」

 いっぽうでルクヤヌクはタフなステージで疲労したと告白している。「できるだけのことをやったよ。ヤン(・コペツキ)に近いペースで行けたが、彼のほうが少し上手くやっている。だが、残念ながら僕の体調はそれほど良くなく、疲れてしまった。足もそれほど強くないんだ。しかし、明日もいくつかのステージに勝つために努力し、何かが起こることを期待したい」

 地元のヴァーツラフ・ペッシ(シュコダ・ファビアR5)もトップ2台に追従していたものの、SS4でタイヤのグリップに問題を抱えてジャンクションで2回のオーバーシュートを喫することになり、首位からは47.5秒遅れの3位となっている。

 マリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)がバンピーはセクションでコースオフしかかりながらも総合4位・ERCジュニア・アンダー28選手権でのトップに立っており、トランスミッションに問題を抱えた地元のトーマス・コシュトカ(シュコダ・ファビアR5)が5位、元シュコダ・ワークスのドライバーとして5度のチェコ王者に輝いているロマン・クレスタ(シュコダ・ファビアR5)が6位、チェコのヤン・チェルニー(シュコダ・ファビアR5)が総合7位/U28ではグリーベルから11.1秒遅れの2位で続いている。

 選手権リーダーのカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)はバンピーなステージに苦戦して8位にとどまり、ライバルのブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)も初コースに戸惑い12位となっている。

 ポーランドで行われた前戦ラリー・ジェシュフで優勝を飾ったブライアン・ブフィエ(フォード・フィエスタR5)は1年ぶりにクサビエ・パンセリとのコンビでチェコに参戦するも、クラッチとギヤに問題があるため苦戦することになった。それでも彼は終盤まで4位につけていたが、SS8でライン上に転がっていた石にヒットしてパンクしたために14位まで後退、表彰台バトルから脱落している。

 ERCジュニア・アンダー27選手権は、クリス・イングラム(オペル・アダムR2)が木曜日の夜にサスペンションを壊してリタイアとなる波乱が発生、彼のタイトルへの望みは失われたように見えたが、金曜日、今度はラリーをリードしていたチームメイトのヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)がSS4で横転してリタイアとなり、選手権争いはラリーがスタートする前と同じ状況に戻ったように見える。こうしたドラマによってラリーは伏兵のアレックス・ザヴァダ(オペル・アダムR2)がギヤボックスに問題を抱えながらもリードする展開となっている。

 昨年に続いてコペツキとルクヤヌクとの完全一騎打ちとなった今年のチェコ・ラリー。明日の最終日は6SS/95.12kmのステージが残されており、昨年、ルクヤヌクがクラッシュしてサスペンションを壊したセクションを組み入れたマヤークのステージから始まることになっている。