ERC2016/08/29

コペツキが母国チェコ戦で5度目の勝利

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 ヨーロッパ・ラリー選手権第8戦チェコ・ラリー・ズリーンは最終ステージまで優勝争いがもつれる展開となり、激しい追い上げをみせていたロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がクラッシュによって後退、チェコのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)がシュコダ・モータースポーツのホームイベントで劇的な勝利を飾っている。

 この母国イベントで過去4勝を飾っているコペツキに対して、ルクヤヌクが4つのベストタイムを奪って初日を2位で終えるという大接戦となったチェコ・ラリー・ズリーン。28日に迎えた最終日、そのオープニングステージではコペツキがベストタイムで発進、やや慎重になってしまったルクヤヌクに対して8.4秒差をつけることになる。ルクヤヌクもSS11ではベストタイムを奪い返すも、コペツキはSS12、13と連続してベストタイムを並べ、ルクヤヌクとの差を8.9秒へと広げてみせた。

 前日と異なり、やや押され気味だったルクヤヌクだが、午後のループでは逆襲を試みる。SS13であわやクラッシュに見舞われそうになりながらもペースをアップ、SS14では渾身の走りでトップタイム、わずか4.6秒差に詰め寄って最終ステージを迎えることになった。

 午後のループにむけてハードタイヤを選択したルクヤヌクとミディアムコンパウンドのコペツキの選択は分かれており、どちらの選択が吉と出るのか注目が集まることになった。ルクヤヌクは一か八かの走りで逆転を狙ったものの、シケインのウォータバレルにヒット、ステアリングを壊してストップしてしまった。彼はどうにか修理を試みてゴールするものの10分あまりもロス、15位でラリーを終えることになった。

 最終ステージで10回目のベストタイムを奪ったコペツキが、チェコ・ラリー・ズリーンで5度目の勝利を飾るとともに、チェコ選手権でも開幕から5連勝を飾ることになり、2年連続、3度目のチェコ・チャンピオンを獲得することになった。

「本当に気持ちが高鳴るラリーだった。信じられない勝利だ。クレイジーな気分だったし、なんと言っていいかわからないよ。クルマとチーム、そして家族に感謝したい」とコペツキは語っている。

 ルクヤヌクのクラッシュによって2位でフィニッシュすることになったのはトーマス・コストカ(シュコダ・ファビアR5)。彼はSS12でフロントデフを壊して3位から6位まで後退したものの、上位陣に立て続けに襲い掛かったトラブルのため2位でフィニッシュ、ヤン・チェルニー(シュコダ・ファビアR5)が3位となったため、表彰台は地元チェコ出身のドライバーが独占することになった。

 初のERC挑戦となったシュコダ・アウト・ドイッチュランドが期待する若手、ファビアン・クライム(シュコダ・ファビアR5)は慎重なペースで初日を7位でフィニッシュ、最終日にはSS14でのパンクによるタイヤ交換による遅れもあったが、初めての高速ターマック戦で見事5位でゴールを迎えている。

 初日を3位で終えたブライアン・ブフィエ(シトロエンDS3 R5)は、朝のループでスピンを喫して4位に後退したあと、ふたたびSS12でペースを上げて3位まで順位を戻したものの、ロードセクションでエンジントラブルのためにストップしてしまう。シェイクダウンでエキゾーストマニホールドに問題を抱え、クルマの修理を待つために金曜日のスタートセレモニーには歩いてランプに登壇したブフィエだったが、けっきょく、問題続きの週末をリタイアで終えることになってしまった。

 ブフィエがリタイアしたことで、ERCレギュラーメンバーのヤロミール・タラブス(シュコダ・ファビアR5)が3位に浮上、2013年のチェコ・ラリー以来となるERC表彰台が期待されたが、彼はSS13で立ち木にクラッシュ、幸いクルーにケガはなかったものの、ラリー続行を断念することになった。

 また、R5マシンでの初のターマック戦に挑んだ新鋭のラルフス・シルマチス(シュコダ・ファビアR5)はSS6のパンクのために最終日を14位でスタートしたものの、SS11でクラッシュのためにリタイアとなっている。

 選手権リーダーのカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)は初日にエキゾーストトラブルでリタイアとなり、総合47位でフィニッシュすることになった。チェコでライバルたちに79ポイント差をつければERC連覇を決めることができたが、わずか3ポイント及ばず、タイトル決定は次戦に持ち越されることになった。

 ERCジュニア選手権とERC3ドライバーズ選手権はオペル・ジュニア・チームのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)は終始首位をキープしたままフィニッシュ、今季2勝目を飾り、選手権のリードをさらに広げている。

 ポーランドのウーカシュ・ピエニアチェク(オペル・アダムR2)がERC2ジュニアで2位となっており、彼を最終日に逆転したルカ・ロセッティ(トヨタGT86CS-R3)がERC3の2位に食い込んでいる。

 また、ERC2選手権は、イタリアのジャコモ・スキャットロン(三菱ランサーエボリューションIX)が制している。

 ERC次戦は9月16〜18日にラトビアで行われるラリー・リエパーヤとなっている。2月にウィンターイベントとして行われる予定だったが、深刻な雪不足のために秋に時期を移してグラベル・ラリーとして開催される。