ERC2019/08/19

コペツキが5年連続ERCチェコで優勝

(c)ERC

(c)ERC

(c)ERC

 2019年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第6戦チェコ・ラリー・ズリーンは18日に最終日を迎え、シュコダ・モータースポーツのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5エボ)が1分31秒の大差をつけて5年連続のERC母国ラウンド優勝を飾るとともに通算7度目のチェコ選手権のタイトルを獲得することになった。

 また、激しいシーソーゲームとなったERC1ジュニア選手権のトップ争いは、ACCRチェコ・ラリーチームのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアR5)が最終ステージでTOKスポーツのクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)を逆転、わずか0.3秒差で勝利を飾るとともに、選手権でもイングラムを抜いて劇的なジュニアタイトル獲得となった。

 ラリー初日、チェコでの優勝争いが期待された選手権リーダーのサンテロック・ジュニアチームのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)がタイヤバーストによるサスペンション破損でリタイア、また予選から速さをみせたERCアンダー28ジュニア・チャンピオンのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)も一時首位に立ちながらもパンクで2分以上もの遅れを喫したため、コペツキは後続に57.4秒という大きなアドバンテージをもって最終日をスタートすることになった。

 最終日は前日のトップ10のリバース順でのスタートとなるため、10番手のポジションでコースに向かったコペツキは前走車によってグラベルがかきだされたコンディションに悩まされたにもかかわらず2番手タイムで発進することになった。そのあとも彼は大きくペースダウン、とくにラリー最難関のピンドゥーラのステージは高速で飛び込んだ森のなかに湿った泥が待ち受けるコーナーでは思い切りスローダウンするなどいっそう慎重な走りをキープすることになった。

 次週のラリー・ドイッチュランドにも出場するコペツキは、「ここでもできるだけ速いペースをつかんでおきたい」と語りながらも、SS13のブラインドコーナーにかきだされた巨大な石に肝を冷やしたあとは、いっそう手堅いペースをみせることになった。もはやコペツキの勝利を阻むものはなく、彼は最終的に1分57秒をリードして5年連続の優勝を飾るとともに通算7度目のチェコ・チャンピオンに輝くことになった。

 コペツキの後方では、この日もイングラムと地元マレシュによるERC1ジュニア優勝争いは繰り広げられることになった。前夜の最終ステージで驚異的な速さをみせて首位にたったイングラムとマレシュの差はわずか3.8秒。イングラムはSS12でスピンしてフロントフェンダーを壊してリードを一時譲ったものの、彼はSS14でふたたび抜き返して0.6秒差をリードして最終ステージを迎えることになった。

 ここで意地の走りをみせたのはマレシュ。「すべてを出し尽くした」という走りでイングラムを0.3秒差で抜いて逆転でERC1ジュニア・タイトルを獲得することになった。

 イングラムはジュニア・タイトル争いでは惜しくも敗れたものの、チェコで総合3位でフィニッシュしたため、ルクヤヌクを1ポイント差で抜いて選手権リーダーに躍り出すことになった。前日のリタイアのあとルクヤヌクは選手権おためにもレグポイントを狙って攻めたが、ジャンクションでのミスと最終ステージのパンクによって思い通りのエンディングとはならなかった。

 また、6ポイント差で選手権2位につけていたウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)は前日にオフして立ち木にクラッシュした際にロールケージにダメージがあったことから最終日のスタートを認められず、彼はノーポイントでラリーを終えることになり、選手権でも足踏みをすることになった。

 4位につけていたユーロオイル-インベルトチームのヴァーツラフ・ペッシ(フォード・フィエスタ R5)はドライブシャフト破損でリタイアとなり、4位にはクレスタレーシングのトマーシュ・コストカ(シュコダ・ファビアR5エボ)、5位にはマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)が続くことになった。

 また、初日の最初のステージでタイヤのデラミネーションに見舞われてコースオフした新井大輝(シトロエンC3 R5)は、最終日にどうにかリスタートすることになったが、ふたたびタイヤに問題を抱えてしまい、SS10の後にラリーを棄権している。

 R2マシンで争われるERC3ジュニアは、これまで選手権をリードしてきたエストニアのケン・トルン(フォード・フィエスタR2T)が最終日、パンクによって5位へと後退する波乱が発生、初日からラリーをリードしてきたスペインのエフレン・ヤレナ(プジョー208 R2)の逆転タイトルの可能性が生まれることになった。しかし、ヤレナはブレーキトラブルで2位へ後退、ジャン-バティスト・フランセスキ(フォード・フィエスタR2T)が逆転優勝を飾ることになり、トルンがERC3ジュニア・タイトルに輝いている。

 ERC2とアバルトカップはアンドレア・ヌチータ(フィアット124アバルトRGT)が優勝を飾っている。

 今季のERCは残すところあと2戦。次戦のキプロス・ラリーは9月27-29日に行われる。