ERC2018/08/26

コペツキ2度パンク、ルクヤヌクがチェコをリード

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第6戦バルム・チェコ・ラリー・ズリンは、雨によってまるでラリー・モンテカルロの雪と氷のステージのように滑るコンディションとなった土曜日のレグ1を終えてロシアン・パフォーマンス・モータースポーツのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がリードしており、このホームイベントで4年連続8度目の勝利が期待されていたシュコダ・モータースポーツのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)は2度のパンクにより16.8秒差の2位となっている。

 早朝の雨でウェットコンディションとなったバルム・チェコ・ラリー・ズリンの土曜日。しかし、曇り空は明るくなりつつあり、天候の改善をみせているため、トップドライバーたちのタイヤ選択は大きく分かれることになった。

 金曜日に行われたスーパーSSズリンのナイトステージを制したヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)はソフトコンパウンドのドライタイヤ、2.1秒差の2位につけるルクヤヌクはインターミディエイト、予選トップのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)はフルウェット。やや雨が残るウェットとなったオープニングステージでベストタイムを奪って発進したのは、もっとも不利なタイヤを選んだコペツキだ。だが、彼は続くウェットコンディションのSS3セメティーンで壁にヒットしたあとパンクに見舞われ、20秒を失って4位へと後退してしまった。

 SS3を終えて首位に立つことになったのはルクヤヌク。フルウェットタイヤを味方にこのステージでベストタイムを奪ったグリアジンが2.7秒差の2位で続き、SS1のパンクで11位スタートとなったダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 R5)も17.6秒差の3位まで追い上げてきた。

 しかし、路面は次第に乾き始めており、ペースを上げたコペツキはSS4でソルドを抜き、さらにSS5では後続を13秒以上も上回るベストタイムを奪取、グリップに苦しむグリアジンを抜いてルクヤヌクの7.4秒後方へと迫ることになった。

 ふたたびペースを取り戻したコペツキは午後のループでの追い上げが期待されたが、彼にはさらに試練が待っていた。泥がかき出された午後のループの最初のSS6ブジェゾヴァは雨によってさらに滑りやすくなっており、コペツキは朝のループに続いてまたもパンクに見舞われてしまい、首位からは20秒遅れの3位へと後退してしまう。

 選手権のためにもここでのミスを避けたいルクヤヌクは、泥だらけの朝のループで「まるでモンテカルロのようなコンディションなので、まったくプッシュしていない。5速のコーナーを3速で走っている、4速でもホイールスピンしてしまうからね!」と語っていたが、午後になってふたたび雨が降り始めたためにコンディションが悪化しており、SS7ではベストタイムを奪ってグリアジンへのリードを14秒差に広げてみせたが、いっそう慎重なアプローチを続けざるをえないほどのリスキーなコンディションとなっている。

 しかし、この状況のなかですでにスペアタイヤを使い果たしているコペツキが終盤のSS8でベストタイムを奪って、ふたたびグリアジンを抜いて2位に浮上、SS9でも連続してベストタイムを奪い、首位のルクヤヌクに続いて16.8秒差でレグ1を終えることになった。グリアジンは3位に落ちたが、ERCジュニアU28の首位をキープ、「ここまではパーフェクト、なんとかセーフティに走りきったよ」と安堵の表情を浮かべている。

 ソルドは完全にウエットでマディになった午後はペースを上げられず、おまけにSS6ブジェゾヴァでリヤをパンク、さらにインカットで石をヒットしたためフロントホイールのリムを破損してしまう。これで完全にスペアを失った彼は首位から50.5秒遅れの4位で初日を終えることになった。ERCデビュー戦の彼はゴール後、この難しいコンディションでライバルたちを称賛した。

「これほど滑りやすいとは想像もしていなかった、彼らは本当に速かった。証明するまでもないことだ。ルクヤヌクは素晴らしく速く、そしてヤン(・コペツキ)の速さは僕は世界選手権でよく知っている。ここで彼に勝つのは本当に難しいよ」

 地元勢のミロスラフ・ヤケシュ(シュコダ・ファビアR5)が5位、フィリップ・マレシュが総合6位、ERCジュニアU28の2位で続き、このコンディションに苦しんだドイツ・チャンピオンのファビアン・クライム(シュコダ・ファビアR5)はSS8ではパンクにも苦しんだが、それでも総合7位、ERCジュニアU28の3位につけている。

 また、金曜日を3位で終えた地元のベテラン、ヴァーツラフ・ペッシ(フォード・フィエスタR5)はSS3で駆動系のトラブルでマシンストップしている。

 ERCジュニアU27は、金曜日をリードしたサイモン・ワグナー(プジョー208 R2)を抜いた選手権リーダーのマルティンシュ・セスクス(オペル・アダムR2)が35秒をリードしている。