WRC2017/05/03

シトロエン、ブリーンのゴール前リタイアを決断

(c)Citroen

 過去10回、ラリー・アルゼンチンで優勝を経験しているシトロエン・レーシングは、先週末のイベントでは最終サービスにおいてマニュファクチャラーポイント獲得を諦め、クレイグ・ブリーンをリタイアさせるという苦渋の決断を行った。すでにチームメイトのクリス・ミークが二日目にリタイアとなっていることから、シトロエンはドライバー選手権でもマニュファクチャラー選手権でもノーポイントに終わることになった。

 ミークは金曜日のSS4でクラッシュしたあと土曜日にリスタート、再びペースを取り戻し、SS11とSS12の2つのステージ勝利を獲得することになったが、デイサービスを挟んだ午後のSS14でハイスピードでバンクに激突して8回転、クリスのラリーは今度こそ本当に終わってしまった。

 いっぽう、アルゼンチン初参戦のブリーンもまた金曜日にミークのクラッシュの原因をつくったSS4のまったく同じ岩盤のバンプでギヤボックスを壊してリタイアとなった。彼は土曜日の朝、サービスでオイル漏れが見つかったことからDAY2のリスタートを断念、最終日にリスタートしていた。

 ブリーンは、SS16エル・コンドルでは4番手タイム、SS17ミナ・クラベロでは3番手タイムを記録し、最終ステージのSS18でも6番手タイムを出してボーナスポイントにあと少しまで迫り、総合15位でサービスへと帰ってくることになった。

 このまま最後のタイムコントロールへフィニッシュすれば、シトロエンはマニュファクチャラー選手権で6ポイントを獲得できたにもかかわらず、チームは最後のサービスでブリーンのリタイアを決断した。多くの重要なスペアパーツはレギュレーションで年間使用数に制限が設けられるが、今回のイベントでダメージのあったパーツについてはこの制約を受けずに次戦で新品のパーツをシーリングして使用することが可能となるためだ。

 シトロエン・レーシング代表のイヴ・マトンは、世界選手権での結果を目指すことなく、これからは勝利を狙う戦略でシーズンに臨むとコメントした。

「我々は目標を達成する能力、すなわちラリーに勝つ能力を持っている。クリス(・ミーク)は何度も最速タイムや2番手タイムを出している。つまりそれは、C3 WRCが勝利に必要なペースを手にしていることを示している。また、日曜日のクレイグ(・ブリーン)のタイムも、総合勝利をめぐる激しい接戦の中でこれだけのタイムを出しているので、それを証明している」とマトンは語った。

「しかし、我々はここではそのペースを良い結果に繋げることは出来なかった。今シーズンが始まって以来、我々は我々の道に障害があるたびに非常に大きな代償を払ってきた。我々はいつか我々の努力が最終的に成果を挙げる時が来ると信じているため、諦めずに懸命な作業を続ける。我々は依然として積極的なアプローチを取っていく。世界選手権での結果を目指すよりもむしろ、ラリーに勝つことを目指す。つまり、ある程度のリスクは取っていくことになる」

 マニュファクチャラー選手権では現在、Mスポーツが162ポイントでリード、ヒュンダイが140ポイント、トヨタが99ポイント、シトロエンは71ポイントとなっている。