WRC2019/10/11

シトロエン、新サスペンションの今季投入を断念

(c)Citroen

 先週末のウェールズ・ラリーGBで新しいサスペンションを投入しようとしたシトロエン・レーシングの思惑は、複雑なホモロゲーション・ルールに阻まれて諦めることになったとチーム代表のピエール・ブダールは語った。

 シトロエンはラリーGBの前にウェールズにおいて3日間のテストを敢行、エリック・カミリーが新しいサスペンションの基本的なセットアップを整えたあと、セバスチャン・オジエとエサペッカ・ラッピがテストを行っており、ドライバーたちはこの新しいサスペンションについて高評価を下したためにラリーGBでの投入にむけて準備が進められることになった。しかし、今回のアップグレードについてはジョーカーが必要となるとのFIA判断から、ホモロゲーションは来シーズンまでお預けということになったという。

 ブダールは、このサスペンションのアップグレードがウェールズにおいてセバスチャン・オジエの7度目のワールドタイトルにむけた戦いを勢いづけたはずだったと無念そうに語った。

「ホモロゲーションに関するルールにはすべてのチームが同様に従わなければならない。これらのパーツによってクルマがさらに速くなることが分かっているのに使えないことは非常にもどかしいくとても残念なことだが、ルールはルールだからね」とブダールは語った。

「新しいサスペンションはトラクションとグリップを改善するのに役立ったはずだ。ドライバーたちはテストでそれらを装着して走ってみて、気に入ってくれている。それらを装着できていればウェールズでもクルマがもっと速くなったかもしれないし、僕たちももっと自信を持つことができたかもしれない。しかし、これには新しいホモロゲーションが必要なのだ」

 ウェールズ・ラリーGBで3位に終わったオジエは、オイット・タナクとの差はそれぞれのステージでは非常に小さなものだったが、追撃してかわしていくにはほど遠いほど大きなものだったと語った。

「オイット(・タナク)とトヨタにはもう脱帽だ。表彰台だから悪い週末ではない。しかし、全力を出し切ったという感覚があったにもかかわらず、僕らはオイットに対してステージごとにタイムを少しずつ失っていた。最終的にはそこまでかけ離れてはいないが、ライバルたちを追撃してかわしていくにはほど遠いものだった。残り2戦で28ポイントのビハインドは選手権のためには決していい持ち札とは言えない。でも数字的にはまだ可能性はある。僕たちはそれを取り戻していけるかどうか、あきらめずに戦い続けていくよ」