ERC2016/09/19

シルマチス母国優勝、カイエタノビッチが王者決定

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第9戦ラリー・リエパーヤは18日に最終日を迎え、地元の新鋭ラルフス・シルマチス(シュコダ・ファビアR5)が今季3勝目を飾り、4位でフィニッシュしたカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フェスタR5)が2年連続2度目のERCチャンピオンを決めている。

 シルマチスは最終日のオープニングSSではリズムに乗れなかったと語りながらもベストタイムでスタート、その後も危なげない走りでベストタイムを重ねることに成功、30.7秒差の2位でスタートしたアレクセイ・ルクヤヌクにも付け入る隙を与えない。

 シルマチスは最終ステージのフィニッシュの2つ前のコーナーではあわやコースオフ寸前のヒヤリとしたシーンも見られたものの、終わってみればこの日も6ステージすべてでベストタイムを奪取、ルクヤヌクに対して1分4.3秒差という大差をつけての母国戦勝利のゴールを迎えることになった。

「母国で素晴らしい勝利を飾ることができた。ゴールの2つ前にコーナーではあわやクラッシュしそうになったが、どうにかホームイベントで勝つことができたよ。とてもいい結果になったので、来年がすべてのグラベルイベントに出ることになるだろう。今夜はパーティの時間はないよ。明日も仕事があるからね」

 ルクヤヌクはスタートした直後は追いつくチャンスがあると考えていたが、ラトビアのシルマチスの速さの前に出来ることは少なかったとゴール後に明かしている。それでも彼は選手権においてシルマチスに2ポイント差に詰め寄られることになったため、最終戦のキプロスでは選手権2位を維持するために戦うと宣言している。

「週末には満足しているよ。最終日はリスクを負って走ったわけではない。選手権の2位をキープしなければならないからね。なんとかキプロスでそれを成し遂げるよ。それにしてもなにもトラブルなく走りきったのは本当に久しぶりだ」

 いっぽう、選手権では圧倒的な大差でリードしているカイエタノビッチにとっては、最終日もリタイアしないでフィニッシュしさえしなければ王座が決まるという状況となっている。彼は朝から大きくペースを落としてスタート、SS9ではエストニアのシーム・プランギ(三菱ランサーエボリューションX)に抜かれて4位に順位を落とすことになった。しかし、ミスをしないように徹底して慎重な走りを続けてきた彼だが、SS10ではヘアピンでエンジンが突然ストップ。エンジンに火が入らず再始動に手間取り、あわやの危機もあったが、どうにかプランギに続いて4位でフィニッシュ、2年連続のERC王座を獲得することになった。

「素晴らしい日になった。素晴らしい気持ちだよ。今年は多くの問題があった一年だった。世界で最高のチームに支えられ、僕らはこのリザルトだけのために困難な作業をつづけてきた。それだけにかけがえのない勝利にふさわしいと思う。信じられない気持ちだよ」とカイエタノビッチは喜びを語っている。

 また、総合5位につけていた地元ラトビアのヤニ・ヴォロビョフ(三菱ランサーエボリューションX)は、最終日の午後にエンジントラブルによりストップ、昨年のイベントでも最終日にパンクでERC2の表彰台を失った彼は今回も表彰台も失うことになった。

 5位につけていたポーランドのウーカシュ・ハバイ(フォード・フィエスタR5)は最終ステージで立ち木にクラッシュしてリタイアとなり、ラトビアのライモンズ・キシエルス(フォード・フィエスタR5)が5位となっている。

 ERCジュニアは最終日も選手権を争うADACオペル・ラリー・ジュニア・チームのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)とマリヤン・グリーベル(オペル・アダムR2)の激しいバトルとなったが、選手権をこれまでリードしてきたイングラムが電気系トラブルのためSS11でまさかのストップ、優勝を飾ったグリーベルが逆転でERCジュニア・チャンピオンに輝くことになった。

 ERC2は、選手権に王手をかけてラリー・リエパーヤに臨んだスバル・ポーランドのボイチェフ・フフォワ(スバル・インプレッサWRX STI)は4位でのフィニッシュを目前にして最終ステージでクラッシュすることになった。しかし、選手権を争ってきたジャコモ・スキャットロン(三菱ランサーエボリューション)が初日にギヤボックスを壊してリタイアとなっていたため、フフォワがWRC2の王座を獲得している。

 今季のERCも残すところあと一戦。最終戦キプロス・ラリーは10月7〜9日に行われる。