WRC2017/06/11

タナク、サルディニアで悲願の初優勝

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 2017年世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・イタリア・サルディニアの最終日、Mスポーツ・ワールドラリーチームのオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)が悲願の初優勝を飾ることになった。エストニア出身ドライバーのWRC優勝は、2004年のラリー・デ・エスパーニャでのマルコ・マルティン以来、13年ぶりとなる。

 サルディニアの最終日はカーラ・フルミーニ(14.06km)とサッサリ〜アルジェンティエラ(6.96km)をノーサービスで2回ループする、わずか4SS/42.04kmの一日となる。だが、土曜日を終えて24.3秒をリードして最終日を迎えたタナクにいきなりトラブルが襲いかかる。オープニングステージのSS16カーラ・フルミーニで、タナクはコクピットに侵入するダストに悩まされ、視界に苦しむことになる。

 タナクはジャンクションでオーバーシュートしてコース脇のブッシュにフロントから軽く突っ込むことになり、幸いにもリバースを使ってすぐにコースに戻ることができたが、2位につけているヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)に対して5.5秒あまりをロス、彼のリードは18.8秒となってしまった。

 これでラトバラが逆転優勝の可能性もでてきたが、彼は次のSS17サッサリ〜アルジェンティエラで深い轍が刻まれたタイトターンでエンジンをストール、二人の差は25.5秒へとふたたび広がることになった。

 コクピット内がダストだらけになったマシンでSS17のステージエンドに辿りついたタナクは「問題があるのが見て取れるだろう。ぜんぜん前が見えなかったので、最初のステージではジャンクションでオーバーシュートしてしまったよ。まだ穴は見つけてないが、これから直すつもりだ」と語った。

 いっぽう、痛恨のミスによって大きなタイムを失ったラトバラは、残された2つのステージでの逆転を諦め、ここで敗北を認めることになった。

「ストールしてしまった。そしてその後、スタートボタンと間違えて、ストップボタンを押してしまった。それで5秒失った。だが仕方ない。ベストを尽くしたし、この後はリラックスできる」とラトバラは語っている。

 タナクは残り2つのステージもセーフティなペースで走りきり、最終的にラトバラに12.3秒差をつけてキャリア初優勝を飾ることになった。

「何て言えばいいのだろう・・・、気持ちいいね! 難しい週末ではあったけど、今シーズンの前半は本当に良かった。新しいクルマと強いチームメイトの存在が僕をハードにプッシュさせてくれる。これがこれからの数多くの勝利の最初であること願っているよ」とタナクは感極まったような表情を浮かべた。

 ラトバラは最後のパワーステージでのボーナスポイントを狙ったものの、ここでも彼はヘアピンでミス、バンクに乗り上げて5番手タイムに終わり、悔しがることになった。「ヘアピンでやってしまった。毎度ヘアピンでミスしてしまう、クルマが曲がらないから。本当に悔しいよ」

 ヒュンダイのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)は土曜日に不運にもブレーキトラブルに見舞われて優勝戦線から脱落したものの、ラトバラから55.4秒差の3位でフィニッシュ、5戦連続の表彰台を獲得することになった。

 2日間で4つのベストタイムを獲得する速さをみせていたトヨタのエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)は、最終日もSS18につづいて最後のパワーステージでもこのラリー6回目となるベストタイムを叩き出してキャリア最上位となる4位でフィニッシュしている。

 5位で最終日を迎えたチームメイトのユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)は朝からパワーステアリングに問題を抱え、最終日の朝の時点で44秒差につけていたMスポーツのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)に最終ステージで逆転されてしまった。

 オジエはパワーステージで3番手タイムを奪ってドライバーズ選手権のリードを守ったものの、ヌーヴィルが3位になったことで22ポイント差だったリードは18ポイントへとわずかに縮まっている。

 マッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタWRC)は2速ギヤに問題をかかえ、さらに右リヤサスペンションアームを壊しながらもどうにか最終ステージを7位でフィニッシュ、8位にはシトロエンからスポット参戦を果たしたアンドレアス・ミケルセン(シトロエンC3 WRC)が完走を果たしている。

 WRC次戦は6月29〜7月2日に行われるラリー・ポーランドとなる。