WRC2016/10/14

タナク、雨のバルセロナSSを制して首位発進

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 世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・デ・エスパーニャが、木曜日の夕方にバルセロナのストリートステージで開幕、DMACKワールド・ラリーチームのオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)がウェット路面での速さをみせて初日をリードすることになった。

 ラリー・デ・エスパーニャは今年も、1992年のバルセロナ・オリンピックでマラソンの舞台となったモンジュイックの丘で行われるお馴染みのストリート・ステージで4日間にわたる戦いの火蓋が切られることになった。

 水曜日に大雨に続き、この日も雨模様となり、石畳とアスファルトのオープニングSSはトリッキーなコンディションとなった。サービスが置かれたサロウから海岸線を100km移動してきたドライバーがバルセロナに到着したころは曇り空だったものの、スタート時からふたたび降り始めた雨は次第に強くなり、この特設ステージのみのために組まれたスターティングポジション上位のドライバーたちがタイムを伸ばすことになった。

 タナクはまだ雨の少ない4番手のポジションでコースイン、一番手でスタートしたイタリアのロレンツォ・ベルテッリ(フォード・フィエスタRSWRC)のタイムを2.7秒上回り、トップに立つことになった。

 とはいうものの、タナクはステージをフィニッシュ後、リヤデフが不調だと訴えており、明日の朝のサービスで彼はマシンをチェックしてもらうつもりだと言い残した。

 タナクから3.5秒遅れの3番手タイムはドライバーズ選手権に王手を掛けているセバスチャン・オジエ(VWポロ R WRC)。ステージがはじまって30分近く経ったあたりから雨の勢いは急に強まり、ステージのあちこちに大きな水たまりと川が生まれて、後方からスタートしたマシンはアクアプレーニングに苦しめられ、多くのドライバーが不満を述べることになったが、12番手でスタートしたオジエだけはこのトリッキーなステージを楽しむように「グリップは予想より低く、僕の前で走ったドライバーの速さには太刀打ちできないとわかっていたが、それでも楽しめたよ」と明るく語っている。

 暗闇が迫るころになって雨も収まり始め、後方からスタートしたWRC2に出場するヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)が5秒差の4番手に飛び込み、シトロエンDS3 WRCを駆るクリス・ミークとクレイグ・ブリーンの二人がそろって5番手タイム、ドライバーズ選手権の2位を争うティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)とアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)がそれぞれ7番手と8番手で続いている。

 また、もっとも雨の激しい時間帯に走行することになったヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)は10番手、ダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)は11番手、ヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)は雨のせいだけでなく、ハンドリングに違和感を覚えて12秒遅れの15番手に沈むことになった。

 ラリー・デ・エスパーニャは金曜日の朝からタラゴーナ地方のグラベルステージで本格的な戦いの幕を開けることになる。金曜日は35.68kmというラリー最長のテーラアルタのステージを含む6SS/115.90kmの一日となる。ドライコンディションなら一番手でスタートするオジエは路面掃除に苦しむはずだったが、夜になってふたたびサロウには小雨が降り始めており、天気はどうやら完全にオジエを味方しているようだ。