WRC2018/08/20

タナクがドイツを連覇、シーズン3勝目を獲得

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 世界ラリー選手権(WRC)第9戦ラリー・ドイッチュランドでトヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームのオイット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が2年連続してこのターマックラウンドでの優勝を飾ることになった。彼は前戦のラリー・フィンランドに続いて2戦連勝、ティエリー・ヌーヴィル、セバスチャン・オジエと並ぶシーズン最多の3勝目を獲得することになった。

 ラリー・ドイッチュランドの最終日は波乱のドラマで始まることになった。わずか0.8秒差で最終日を迎えたダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)とヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)による激しい2位争いが期待されていたが、二人ともオープニングSSのグラーフシャフト(29.07km)で相次いでトラブルに見舞われることになった。

 2位で最終日をスタートしたソルドは、ぶどう畑にコースオフ、フロントガラスと右フロントを壊して1分30秒をロスしてしまった。彼は7位に順位を落としてステージをフィニッシュ、水が漏れた冷却系に応急修理を行って次のステージ前TCに10分遅れながら到着したものの、水温が激しく上昇したため続行を断念することになった。

 また、ステージスタート前のロードセクションから油圧系に問題を抱えていたラトバラは、パドルシフトが使えなくなったためにマニュアルシフトでステージを走行するも、油圧式のセンターデフにも問題を抱えてペースが上がらず、ついにギヤが入らなくなってしまったため残り1km地点でマシンを止めることになった。

 上位陣の連続してドラマが起きたことで2位以降の顔ぶれは大きく変わることになり、43.9秒差の2位にティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)、3位にエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)、4位には前日のパンクで大きく後退したセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が浮上することになった。

 ラリーリーダーのタナクは、ソルドとラトバラにドラマが起きていることをコースにかき出されたグラベルから判断、よりいっそう慎重なペースで走ったため、ここで8秒を失ったもののライバルが消えてさらなるアドバンテージをえたことで、グラーフシャフトの2回目の走行では完全にクルージング、2位に浮上したヌーヴィルに対して32.6秒をリードしてボセンベルクのパワーステージを迎えることになった。

 タナクはパワーステージでは果敢な走りでアタック、パーフェクトな勝利を狙ったものの、惜しくも2番手タイムとなったが、46ポイント差だったドライバーズ選手権の遅れをこの勝利によって36ポイント差に縮めることに成功してる。

「選手権の挑戦? それについては分からないよ。けれど、この特殊なイベントを勝利できて嬉しいよ。セブは激しくプッシュしていたので、彼についていくのは大変だった。しかし、僕らは全力でプッシュし続け、そして最終的に僕たちが勝利できたのでうれしいよ」とタナクは喜びを語った。

 ヌーヴィルはギヤボックスからのオイル漏れやハンドリングの難を抱えて土曜日にライバルたちのスピードにまったく歯が立たずに5位まで後退したものの、ラリーを終えてみれば2位でフィニッシュ、選手権リーダーをがっちりキープすることになった。

 また、ラッピがサルディニアに続く今季2度目の3位でフィニッシュ、トヨタは2戦連続してダブルポディウムを達成、マニュファクチャラー選手権でMスポーツ・フォードを抜いて2位へと浮上、ヒュンダイに13ポイントに迫ることになった。

 オジエは土曜日のパンクによって9位まで後退、選手権にとっても危機的な状況に見舞われたかにも見えたが、チャンピオンの意地をみせるかのような走りをみせて4位までポジションを上げてフィニッシュ、デファレンシャルに問題を抱えながらもパワーステージを圧巻の走りで制してみせた。21ポイント差だった選手権の遅れは23ポイント差へと広げられたが、オジエは最悪の事態を回避してみせた。

 5位にはテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)、6位にはアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20 クーペWRC)が続いている。

 土曜日の最終ステージまでラッピを追撃していていながらコースオフしてしまったクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)も7位でフィニッシュしたが、チームメイトのマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)は波乱が続出したオープニングSSの犠牲者の一人となり、高速コーナーでリヤをスライドさせてコースオフ、サスペンションを壊してマシンを止めることになった。

 次戦は2010年以来8年ぶりにWRCに復活するラリー・トルコとなり、アドリア海沿いの観光地マルマリスをベースとして9月13〜16日に開催される。