WRC2016/10/31

タナク猛追も、オジエが今季グラベル初優勝

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 2016年世界ラリー選手権(WRC)第13戦ラリーGBは30日に最終日を迎え、この日の6ステージすべてでベストタイムを奪ったオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)の激しい追撃から逃げ切ったセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が今季初のグラベル・ラリーでの優勝を飾り、フォルクスワーゲンが4年連続マニュファクチャラー王座を獲得することになった。

 二日間を終えてオジエは33.8秒をリードしており、最終日に残された6SS/52.08kmは逆転は不可能とも思えたが、気温10度と肌寒く、ウェットコンディションとなった日曜日のステージで、DMACKタイヤのパフォーマンスに支えられたタナクがふたたび快走を見せることになった。

 タナクはオープニングSS のSS17クロケノグで0.6秒を縮め、SS18ではヘアピンでワイドになったオジエに3.5秒差をつけ、さらに続くSS18アルウェンでも3.8秒を縮め、朝の1回目のループを終えて25.9秒差まで迫ることになった。

 3ステージを連続して制したものの、タナクは「クレイジーなステージだったが、すべてを失うようなリスクは負っているわけではない。マキシマムにプッシュする考えはないよ」と、速さよりセーフティに秤は振れているように語ったものの、彼はさらに滑りやすくなり難しいコンディションとなった2回目のループではさらにペースをアップ、クロケノグとアルウェンでも連続してベストタイムを刻み、最終ステージを残してオジエまで16.4秒差まで詰め寄ることになる。

 しかし、いかんせん残された最終のパワーステージはわずか7.93km。大きくペースを落としたオジエに対してタナクは6.2秒も引き離すベストタイムを叩きだしたものの、最終的に10.2秒届かず、オジエを逃がすことになった。

 3日間で12ステージでのベストタイムを奪ったタナクは、冷温で素晴らしいグリップを発揮した DMACKタイヤに支えられたことでこのパフォーマンスを発揮できたと語り、タイヤ開発者たちを讃えている。

「このタイヤを開発するためにDMACKのチームがすばらしい仕事をしてくれた。この結果は来年のための自信になったよ」

 いっぽう、ラリーGBで今季初のグラベル・ラリーでの勝利を飾り、マニュファクチャラータイトル4連覇を決めたオジエは、「ここでもっとも優先しなければならなかったのは、チームのマニュファクチャラー選手権タイトルを決めることだった。オットは飛ぶように速く走り、ミスなく僕らに迫ってきた。僕らは彼らを倒すためには完璧なラリーをしなければならなかったよ」とゴール地点で厳しかった三日間の戦いを振り返った。

 ヒュンダイ・モータースポーツのチームメイト同士による表彰台争いは、ティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20WRC)がヘイデン・パッドンに19.5秒差をつけて4戦連続の表彰台に立ち、ドライバーズ選手権2位争いにおいても優位に立つことになった。

 初日のドライブシャフトトラブルで大きく遅れたアンドレアス・ミケルセン(VW ポロR WRC)はけっきょくポイント圏外の12位に終わり、パワーステージではぎりぎりの走りで2ポイントのボーナスを獲得したものの、ヌーヴィルには14ポイント差をつけられることになり、さらに今回4位でフィニッシュしたパッドンにも3ポイント差に迫られてしまった。

 走行ポジションのハンデに上位進出が阻まれたクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が母国戦 GB の5 位で今季最終戦を終えることになり、6位にはダニエル・ソルド(ヒュンダイi20WRC)が続くことになった。

 初日のドライブシャフトトラブルにより表彰台争いから脱落したヤリ-マティ・ラトバラ(VW ポロR WRC)は、最終日にマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)を抜いて7位でフィニッシュ、ケガによって2 カ月あまり戦列を離れていたステファン・ルフェーブル(シトロエンDS3 WRC)も9位で完走を果たしている。

 2016年のWRCも残すところあと一戦。最終戦ラリー・オーストラリアは11月17 〜20日に行われる。