WRC2021/03/27

チリのキャンセルでアクロポリスが8年ぶりWRCに

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 アクロポリス・ラリー・ギリシャが2021年の世界ラリー選手権カレンダーに追加されることになった。COVID-19の影響で渡航などが制限されたことで、残念ながらラリー・チリが中止となったことにともない、ギリシャが8年ぶりに世界ラリー選手権に復帰、9月9日〜12日に第10戦として開催されることになった。

 ギリシャの過酷なグラベルラリーは、1973年の初開催以来、WRCを象徴するイベントの一つとなっていたが、2013年を最後にWRCカレンダーから外れていた。WRCプロモーターはギリシャ政府と複数年契約を結び、アクロポリス・ラリーをWRCとして復活させることを決定した。

 1951年に初めて開催されたアクロポリス・ラリーは「神々のラリー」として知られており、これまでにWRCとして38回の開催がされている。コリン・マクレーが5回の優勝を果たした他、セバスチャン・ローブ、ユハ・カンクネン、ウォルター・ロール、カルロス・サインツなどの世界チャンピオンたちが優勝を経験しており、ここでオリンポスの女神に祝福されたドライバーはワールドチャンピオンになれるといわれてきた。

 開催地やルートの詳細は、FIAとWRCプロモーターによるルート検査の後に発表されることになるが、スタートセレモニーはかつての伝統に倣ってアテネのパルテノン神殿の下で行われるという。

 WRCプロモーターのマネージング・ディレクターであるヨナ・シーベルは、WRCのクラシックラリーの一つが復活することは、WRC全体で歓迎されるだろうと述べている。

「アクロポリスはWRCの歴史の中で輝かしい章を持っており、世界ラリー選手権に復活させたギリシャ政府の大いなるコミットメントに感謝したい。おかえりなさい!」

「その遺産は誰もが思い出すだろうが、同時にこのアクロポリスは現代のアクロポリスであり、他の11戦と並んでも違和感のないものだ。しかし、それは挑戦が弱くなったということではなく、厳しい山道が厳しい戦いをもたらすことは間違いない」

「ラリー・チリは2019年にWRCを成功させたが、残念ながら、昨年のパンデミックでチリは大きな被害を受け、厳しい状況が続いている。今年のイベントを失ったことは非常に残念だが、チリはWRCファミリーの一員であることに変わりはない」

 FIA会長のジャン・トッドは次のように述べている。

「チリ・モータースポーツ連盟と組織チームの努力は無駄ではなく、将来的にはまた素晴らしいラリー・チリを見る機会があると確信している。アクロポリス・ラリー・ギリシャは、このようにして選手権に参加する機会を得たが、いまさらこのイベントについて紹介するまでもないことだ。世界で最も過酷なステージが用意されている伝説的なイベントだ」

「私は、1970年から1981年の間にコドライバーとして5回出場し、1985年と1986年にはプジョーのチーム代表として優勝を経験したことがあり、特別な思い出がある。ギリシャ当局の支援と主催者の強いコミットメントにより、アクロポリスが最高レベルの競技として復活したことは喜ばしいことだ」

 アクロポリス・ラリーは政府の熱烈な支援を受けており、キリアコス・ミツォタキス首相は、WRCの復活を祝うことをギリシャは誇りに思っていると語った。

「70年前、アクロポリスを背景に行われた特別なレースは、『神々のラリー』として知られるようになり、他に類を見ないドライバーを試す壮大な一戦となった。アクロポリス・ラリーは8年ぶりにWRCとして復活することになるが、まさに我が国が劇的に再生した時期に開催されることになる」