WORLDWIDE2018/06/25

デュマVW、8分を切るパイクス最速記録達成

(c)VW

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 ロマン・デュマがドライブするフォルクスワーゲンのEVマシンのI.D. Rが、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムでセバスチャン・ローブの持つ記録を打ち破った。デュマは19.99kmのコースを8分以内に走破した初めてのドライバーとなった。

 デュマは前の競技者がクラッシュして観客が負傷したために出走が遅れたが、一旦スタートすると驚異的なスピードで駆け上がり、7分57.148秒の記録を樹立した。

 これまでEVマシンの最速記録は2016年にリーズ・ミレン(e0 PP100)が記録した8分57.118秒であり、総合での最速記録は2013年に3.2リッターのツイン・ターボを搭載したプジョー208T16パイクスピークをドライブしたローブの8分13.878秒だったが、デュマはいずれの記録を大きく上回る最速タイムで標高4,302m地点のゴール地点を駆け抜けた。

「正直言うと、パイクスピークは一発だけで勝負が決まるので、どのような競技より難しいことはわかっていた。おまけに今日は霧があり、湿気も多く、第2セクションはかなり湿っていた」とデュマはゴール地点で語った。

 VWは当初、EVマシンの以前の記録更新を目標に掲げていたが、予選タイムの速さは、ローブの記録を破る総合での新記録を樹立する可能性もあることを示していた。VWは8分を切るタイムの可能性については消極的だったが、最終的には天候が味方した。山に雲がかかり、雨の恐れがあったが、最終的には雨は降らず、頂上付近の霧にやや視界がた妨げられただけだった。

「VWのマシンが僕がこれまでここでドライブしたどのマシンよりも速いことはわかっていた。だから、この結果に満足しているよ。しかし、もし中間セクターの路面が乾いていれば、もっと速く走ることができただろう!」

 フォルクスワーゲン・モータースポーツ代表のスヴェン・スミーツは次のように語った。

「チームのために大変嬉しい。彼らを本当に誇りに思う。我々全員がこのために一生懸命取り組んできた。我々はこれに目標を定め、そして再び、我々が何かをすると決心した時は、正しくやり切ることを証明したよ!」とスミーツ。

「ロマンの記録は信じられないほど素晴らしい。しかも、彼がこのマシンでコース全体をドライブしたのはこれが初めてだったことを忘れてはならない。テストでは、彼は一番下から頂上まで制限なく走ったことは一度もなかった」

 スミーツは、アクシデントによりスタートを待たされたことが最大のストレスだったとふり返った。

「スタートまでに45分待たされたのはとてもストレスだった。再び同じことは経験したくない。さらにタイミングが故障し、セクタータイムが分からなかったので、まるで1時間かかっているように感じた!」

 VWのテクニカルディレクターを務めるフランソワ‐クサビエ・ドゥメゾンは、プジョーの記録を破れるとは想像していなかったと付け加えた。

「我々にスピードがあることは分かっていたが、技術的な問題があった場合にバッテリーをどのように管理するかなど、ここ数日で多くのことを学んだ。このレースの魅力は、予想がつかないことだ。しかし今日は大丈夫だった。ロマンはこのタイムを得るためにリスクを冒した。それも、全力でだ。これは素晴らしい結果だよ」

「我々がここに来たとき、まさかプジョーのタイムを打ち負かすために来たとは言うことが出来なかった。しかしそれを実現できてうれしいよ!」