WRC2018/09/21

トヨタのフィンランドでの開発テストに制限か

(c)Toyota

 ラリー・フィンランド以降、破竹の3連勝を飾るなどトヨタ・ヤリスWRCの速さは、ライバルチームにとって完全な脅威となっている。だが、この速さを生んだ大きな原動力となってきたトヨタのフィンランドにおける自由な走行テストについて制限がなされることになりそうだ。

 10月12日に行われるワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)での承認に向けて、WRCコミッションは、2019年1月1日から適用されるWRCのスポーティングレギュレーションの変更案をとりまとめているが、チームのパーマネント・テスティング・サイトについても直径10kmのエリアに限定することが提案にもりこまれるようだ。

 マニュファクチャラーは年間で決められた日数を超えてWRカーの走行テストを行うことが認められてないが、出場が認められるローカルイベントで走行が許されるほか、チームが所有するテストコースあるいは私有地をパーマネント・テスティング・サイトとしてFIAに登録すれば自由なテストが可能となる。ワークスドライバーは年間で1日に走行が制約されるものの、開発ドライバーなどはこの制約はなく、またシーズンオフについてはワークスドライバーもこの制約を受けずにここで走り込むことが可能となる。

 FIAがパーマネント・テスティング・サイトとして登録を認めるのは道路ではなくエリアであり、トヨタが登録しているエリアはトミ・マキネン・レーシングが所有する広大な森林地帯となる。このエリア内で実際にテストが行われる道路は私道だけでなく多くは一般道も含まれており、ラリー・フィンランドやラリー・スウェーデンのステージを完全に再現した高速テストが可能となってきたが、多くのライバルチームはトヨタだけが享受している自由なテストが不均衡だとして制約を加えるべきとの考えを示してきた。

 また、マニュファクチャラーにこれまで認められた年間で55日のテストについても、新シーズンからはコストを削減するために各イベントの総ステージ距離を300〜350kmへと制限を加えることを引き換えに、テスト日数についても年間42日へと制限することを提案する見込みとなっている。しかし、これによってパーマネント・テスティング・サイトの重要度がますます高まるとの懸念も存在している。