トヨタGAZOOレーシングWRTのチームプリンシパルであるヤリ-マティ・ラトバラは、来季の世界ラリー選手権に投入する新しいハイブリッドによるGRヤリスWRC Rally1のテストが今週にも再開できると認めるとともに、初めてこのマシンをテストすることになる8度にワールドチャンピオンであるセバスチャン・オジエからのフィードバックに注目していると語った。
先月末にフランスで行われていたテストで、エルフィン・エヴァンスがGRヤリスWRC Rally1をクラッシュさせたことで、チームはテスト計画を途中でキャンセルして、修理のためにマシンをフィンランドのファクトリーに戻さなければならなかった。
そのためオジエがGRヤリスWRC Rally1を初めてテストする計画も延期となっていたが、今週、フランスでのテストは再開される予定であり、彼は開幕戦のラリー・モンテカルロにむけて初めてハイブリッド・パワーを体験することになる。
トヨタは開幕戦モンテカルロからGRヤリスWRC Rally1を4台投入する計画だが、4人のドライバーでシーズンを迎えるために早期に2台ずつのシャシーを用意しなければならない。そのため、フィンランドのファクトリーが非常に忙しい状況となっていることを、ラトバラは認めた。
「エルフィンがクラッシュしたとき、チームはテストを中断しなければならなかった。テストの現場ではマシンを修理するための十分なパーツを持っていなかったからだ」とラトバラは語った。
「チームは新しいクルマのための新しいパーツを作るのに、まだとても忙しい状況にある。タイミング的には厳しいものがあるし、確かに余分な時間はなく、時間を無駄にするわけにはいかない。すべての走行が本当に重要で、セバスチャンがこのマシンをドライブしてどのようなフィーリングをもつのかとても重要なことだ。だから、彼のテストを楽しみにしている」
2022年にむけたGRヤリスWRC Rally1のホモロゲーションが迫る中、ラトバラは大きな決断を迫られることを認めた。
「それは、私にとって最も難しいことのひとつだ。例えば、デフのランプ角のように、Rally1では1つしかホモロゲーションを取ることができず、シーズンを通して1つのランプを使用しなければならない」
「このランプがすべてのステージ、すべての路面に最適であるという十分なデータがあるわけではないので、非常に難しい選択を迫られている」
「また、十分なテストを行っていないと、シーズン後半になって間違った選択をしたときに問題が発生する可能性がある。それを決めるためにも短期間にたくさんのテストをしなければならない。それが大変なのだ」
チームにとって未知なる技術となるハイブリッドシステムの機能について、ラトバラは現在の状況に満足していると語っている。
「私が本当に満足しているのは、ハイブリッドシステムの機能性についてだ。来年のチャンピオンシップに向けて、これが最も重要なことだし、現在の進捗状況にはかなりうまくいっている言わざるを得ない」