WRC2017/02/12

トヨタ復帰2戦目で優勝、ラトバラ歓喜のゴール

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 2017年世界ラリー選手権第2戦でTOYOTA GAZOO Racing WRT のヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が劇的な優勝を飾った。今季開幕戦からWRCに復帰したトヨタはわずか2戦目にして優勝を獲得することになった。

 スウェーデン最終日は、21.70kmのリケナス・ステージを2回走行、金曜日に一度行われたトースビーの2回目の走行がパワーステージとして行われる、わずか3SS/58.81kmのみが残されている。

 土曜日の最終ステージで、それまで快調なペースで首位をキープしてきたヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)がクラッシュするという波乱が発生、ラトバラがラリーリーダーに浮上することになった。とはいうものの、2位にはMスポーツのオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)が3.8秒差、さらにチームメイトのセバスチャン・オジエも16.6秒差で続いており、勝負は最後までまったく分からない状況だ。

 だが、オープニングステージとなったSS16リケナス、オジエは逆転を信じてステージを猛然とスタートしたものの、あろうことか最初の右コーナーでスピン、逆転のチャンスもあるかに思われていたが15秒を失って万事休すとなってしまう。

 そして、このステージで飛ぶような速さをみせたのはラトバラ、2位のタナクに対して最初のスプリットで4.1秒の差をつけた彼はその後さらにペースをアップ、7.1秒までその差を広げてフィニッシュ、リードを10.9秒差へと広げることに成功した。

「驚いているよ。僕とミーカはリラックスしている。マシンのフィーリングもいいし、すべてが上手く行っている。昨晩、マキネンと良い話ができた。彼は僕に、ステージが始まったらセットアップのことは忘れ、ただドライビングに集中しろとアドバイスしてくれたんだ」とラトバラは語った。

 ラトバラは、リケナスのステージの2回目の走行となるSS17でも素晴らしい速さをみせて、タナクに9.1秒差をつけるベストタイム。リードは20秒へと広がることになった。

 そして迎えたのは最終ステージ、フィニッシュ地点ではチーム代表のトミ・マキネンが、「あとはラトバラを信じるだけ」とその瞬間を待ち受ける。ラトバラはこのステージでこれまでのマージンを守るのではなく、見事な走りでパワーステージも制して18年ぶりのトヨタ勝利を完璧な形で成し遂げることになった。

「素晴らしいよ! 新しいチーム、新しいマシン、そして2度目のラリーで勝利したことは、驚くべきことだ。この感動を表現する言葉が見つからない」とラトバラは語った。彼はこの勝利で選手権リーダーに立つことになった。

「このパワーステージで僕はトヨタ・ヤリスで、自分のキャリアで過去最高のパワーステージを走った。僕たちは良いレベルにいる。そして今後も前進するが、今後はより難しくなるだろう。チャンピオンシップは面白くなってきたよ!」

 いっぽう、タナクは最終ステージでエンジンをストールさせる問題があったものの、リスタート後は落ち着いた走りでフィニッシュ、最終的にラトバラとの差は29.2秒となったが2戦続けてのポディウムを獲得することになった。

 オジエはラトバラからは59.5秒遅れの3位でフィニッシュ、パワーステージでもラトバラに及ばず2番手タイムに終わることになった。彼は選手権でラトバラにリーダーを奪われ、2014年のメキシコ以来、守ってきた選手権リーダーの座を3年ぶりに降りることになった。

 また、前夜のスーパーSSでトップタイムを奪ったダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 クーペWRC)が4位、前日のパンクのあとノーミスで走ることを誓ったクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)は引き続きリヤのグリップの問題に苦しみながらも5位でフィニッシュすることになった。

 また、DMACKタイヤのエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)はオープニングSSでエンジンが3気筒になる問題でペースダウンするも、チームの指示で応急修理を成功させてどうにか6位でフィニッシュしている。また、初日のハンドリングの問題や二日目のパワーステアリングのトラブルによって期待したポディウム争いには及ばなかったヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 クーペWRC)が、最終日、ペースを落としたエヴァンスを捕らえるべく、俄然ペースをアップ、わずか4.6秒届かずに7位に終わっている。