WRC2017/01/20

ヌーヴィル、モンテカルロのリードを奪う

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 2017年WRC世界ラリー選手権開幕戦ラリー・モンテカルロのオープニングレグは、ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が制し、Mスポーツ・ワールドラリーチームのセバスチャン・オジエが7.8秒差の2位で続く展開になっている。

 モンテカルロは木曜日の夜、おなじみとなったモナコのカジノ前広場でのセレモニアル・スタートが行われたあと、アントルヴォー〜ユブレイユ(21.25km)とベイヨン〜ブレジエ(25.49km)という長い2つのステージが予定されている。すでに日没をすぎており、ナイトステージ用のランプポッドを装着したマシンが暗闇のなか、オープニングステージへと向かう。

 だが、このオープニングステージでまさかのアクシデントが発生する。3番手でステージをスタートしたヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)は、19.9km地点のゆるい左コーナーでブラックアイスでマシンをスライドさせてしまい右側を崖にヒット、マシンがコースをふさぐ形でストップしてしまう。パッドンとジョン・ケナードにケガはなかったものの、コーナー出口のコースサイドにいた観客がマシンにはねられてしまう。ステージはキャンセルされ、負傷者は病院に搬送されたものの、その後亡くなったことが主催者から発表されている。

 SS1で発生したアクシデントの影響でおよそ20分遅れでSS2ベイヨン〜ブレジエがスタート、キャンセルとなったオープニングSSのタイムが抹消されたことで、けっきょく木曜日はこのステージのみとなった。ここでベストタイムを奪ったのはヒュンダイのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)。彼はキャンセルとなったSS1のベストタイムが幻となったものの、サスペンションとタイヤがソフトすぎることに不満を述べながらもこの25.49kmのステージでオジエに対して7.8秒差をつけるベストタイムでモンテカルロをリードすることになった。

 ヌーヴィルは、マシンが思い通りには動かないと認めつつも、2つのステージでいずれもトップタイムをマークする速さをみせたことに満足したようだった。

「すべてオーケーだった。でも、スーパーソフトタイヤを装着した状態では、ソフトすぎてマシンが動き回りすぎる。でも本当にプッシュしたりしてないが、それでもタイムはいい。明日に向けて、いくらか改善できる点もあると思う」

 いっぽう、オジエはウェットとアイスが入り混じった暗闇のステージでこれ以上攻めることは危険だったと述べている。

「かなりセーフティにいったんだ。このようなコンディションで限界を見つけることは困難だからね。もっと速く走れるけれど、1年の最初のステージだから、安全に行くことにした」

 ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)は、新たに参戦したTOYOTA GAZOO Racing WRTに笑顔をもたらした。ハンニネンはSS2で3番手タイムをマーク、デビュー戦の初日を3位で終えることになった。

 4位にはシトロエン・レーシングのクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)、3.6秒差の5位にオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)が続き、DMACKタイヤのエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)が6番手で続いている。

 また、2016年スペックのシトロエンDS3 WRCで参戦するクレイグ・ブリーンが、2017年マシンを駆るヒュンダイのソルド、トヨタのヤリ-マティ・ラトバラの前に立ちふさがり、7番手で初日を終えている。

 また、シトロエンの3台目、ステファン・ルフェーブルはトランスミッションのトラブルにより、SS2でストップ。チームはマシンをギャップに戻して、明日ラリー2で再出走するつもりだと発表している。

 明日の金曜日は、ギャップ北部エリアに舞台を移して、アニエール・アン・デヴォリュイ〜ル・モティ、アスプル・レ・コール〜シャイヨール、サン・レジェ・レ・メレーズ〜ラ・バティ・ヌーヴの新しい3ステージを2回ループする一日となる。木曜日とはうってかわってステージのほとんどが雪と氷に覆われた難しいコンディションになると見られている。