WRC2021/03/02

ヌーヴィルとウィダーゲに母国語の問題

(c)Hyundai

 ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィルは、新しいコドライバーのマルテイン・ウィダーゲがよくやっていると評価しつつも、アークティック・ラリー・フィンランドではペースノートの発音の問題から何度もタイムを失うシーンがあったと認め、それがなければ2位も可能だったとふりかえっている。

 アークティック・ラリー・フィンランドは高速ステージが多いため、失ったタイムをとりかえすことはきわめて困難なイベントであり、そのためにも正確なペースノートが重要となる。

 ヌーヴィルは、ウィダーゲとの2戦目となったアークティック・ラリー・フィンランドでは週末を通してたびたびペースノートの聞き取りに問題があったためにコーナーで躊躇したことがあったと苛立った様子をみせており、こうした懸念が現実となったかのように、彼は最終的にカッレ・ロヴァンペラとコンマ数秒差のバトルに敗れて3位に終わっている。

 ヌーヴィルは土曜日の朝のループのあと、当初はペースノートで苦戦していたのはインカムに原因があったと語っていた。

「時々エンジン音がうるさくて、彼の声がはっきり聞こえないことがあった」とヌーヴィルは語っていた。

「マルテインと僕の間のコミュニケーションがまだ不足しているので、完全に集中して取り組むことができなかった。僕の耳は時々、インカムからノイズ音を多く拾ってしまい、彼の声はあまりはっきりしないので、僕がノートを正しく理解しているかどうか、なかなか自信を持てなかった。だから時々スピードを落としてコーナーがどうなっているか想像していたが、誰もがコンマ1秒を競っている戦いの中では好ましい状況ではない。少しイライラした」

 ヌーヴィルはゴール後、コミュニケーションの主な問題はウィダーゲとのパートナーシップがまだ新しいことに起因していたことを認めている。二人はともにベルギー人だが、ヌーヴィルはフランス語、ウィダーゲはフラマン語(オランダ語)を話すことがその原因だという。

「マルテインはフランス語でペースノートを読むが、彼の母国語はフランス語ではなくフラマン語なんだ。例えば50と70の違いをはっきり聞き取るのに苦労することもあった。それゆえに、僕は躊躇することがあった。そのためコーナーのスピードが実際より遅いと理解して、それが原因でタイムをロスしてしまったことも数カ所であったし、そのせいで最後には2位を失ってしまったかもしれない」

 ヌーヴィルは、ウィダーゲとのコンビを永続するかどうかについては正式にコメントしていないが、今のところはうまくいっているとコメント、ウィダーゲがいかに早く、ハイレベルの期待に応えられるようになるか待っているように見える。

「すでにマルテインはフランス語のレッスンを受けていて、この週末の前にも受けていたので発音については改善があるし、彼は確実にもっとやってくれると思うよ。でも一番印象に残っているのは、彼の冷静さだ。彼は終始とても静かで、リラックスしている。モチベーションは高いし、新しいものがあるとさらに自分を追い込むことができている。今のところはうまくいっているよ」

 ヌーヴィルとウィダーゲは、さらに良い関係を築くために3月13〜14日に行われるイタリア・ラリー選手権開幕戦のラリー・イルチョッコにヒュンダイi20 R5で参戦し、次戦のクロアチア・ラリーに備える計画だ。