WRC2022/01/28

ハイブリッドシステム、シーズン前の不安を覆す

(c)Hyundai

 コンパクト・ダイナミクス社のハイブリッドユニットは、デビュー前、信頼性が不安視されていたが、その懸念は杞憂に終わった。

 どんな新技術にも言えることだが、コンパクト・ダイナミクス社の2022年マシン向け新型ハイブリッドシステムは、世界ラリー選手権デビューの際、信頼性の低さが心配されていた。

 パワートレインとしてのハイブリッドは、もう20年近くも前から存在している。しかし、このユニットはラリー向けの新しいものだった。Rally1カーのために一から設計されたもので、キットが新しいだけでなく、搭載されるマシンも競技の中でテストされたことはなかった。昨年4月のリコールや、世界的なサプライチェーン問題よる部品調達難など、開発過程で信頼性に疑問符がつくこともあったし、チーム側からもハイブリッドへの不安を理由としてデイサービスが設定されないモンテのアイテナリーに対してたびたび抗議が行われることになった。

 しかし、先週のラリー・モンテカルロでは、一部のクルーがハイブリッドのブースト展開の問題を報告することはあったが、コンパクト・ダイナミクス社が供給した部品のシステムトラブルによるリタイアはなく、新しいハイブリッドRally1カーの信頼性に対する懸念は払拭された。

「現在世界中で誰もが頭を抱えている非常に強力なサプライチェーンの問題のため、夏から秋にかけて、チームは懸命に働いてきた」とコンパクト・ダイナミクス社のチーフを務めるオリヴァー・バンベルガーは語った。

「正直なところ、最初のハイブリッドWRCイベントとしては、かなり良い結果だと思う。基本的に、システムの開発は現在、今後3年間凍結されている。もちろん、ソフトウェアのバグなどが見つかれば、改善していかなければならない。しかし、これは最初の2、3回のラリーを通して期待される仕事だ」

 アドリアン・フールモーのフォード・プーマRally1がバリアを越えて丘の斜面を転がり落ちた壮絶なクラッシュの際にも、ハイブリッドキットの完全性が徹底的に試された。

 ハイブリッドのカーボン製のケースは70Gの衝撃に耐えることができる。マシンはひどく破損していたが、マシンに搭載されているセーフティーライトは終始グリーンに点灯しており、ハイブリッドシステムの安全性が損なわれていないことを示していた。

「テスト段階では、2〜3回の強いクラッシュがあり、ヒュンダイの事例にいたっては終盤に川の中に落ちてしまった。しかし、システムはしっかりしていて、中に水も入らなかったし、彼らも無事だったので、我々はとても満足している」とバンベルガーは語った。

「衝撃荷重は非常に強い。もちろん、すべての部品をチェックしなければならないし、バッテリーセルも交換する必要があるかもしれないが、基本的にシステムは動いており、それは非常に優れた結果を証明している」