ハンコックは、ラリー・デ・ポルトガルにおいてRally1カーのためのグラベルタイヤのダイナプロ(Dynapro)R213のアップデート仕様である「R213W」を投入する。
2025年にピレリから世界ラリー選手権の公式タイヤサプライヤーの座を引き継いだハンコックは、純粋なパフォーマンス面での不満の声もあるものの、ドライバーからのフィードバックは概ね肯定的であり、その耐久性についてはグラベルタイヤを除けが評価も高かった。
ハンコックは、ラリーの勝敗を左右する要因とならないタイヤの開発を目指し、パフォーマンスよりも耐久性を重視するという方針はこれまでのところ功を奏している。モンテカルロとカナリアスのターマック・ラリー、スウェーデンのスノー・ラリーではパンクが問題になることはほとんどなかった。しかし、グラベル・ラリーのケニアではすべてのファクトリードライバーが少なくとも1回のパンクを経験している。なかでも勝田貴元は金曜日の最初のステージで2本をパンクしてトップ争いから後退したほか、土曜日にもリム落ちなどによって3度のパンクを経験している。カッレ・ロヴァンペラとティエリー・ヌーヴィルも土曜日に2度のパンクに見舞われている。
WRCは今週のポルトガルのあと、サルディニアとギリシャのラフな路面が控えていることを踏まえ、ハンコックはRally1マシン専用にさらに堅牢なグラベルタイヤを投入する。ハンコックWRCの広報担当であるスティーブン・チョーは、このアップデートはプログラムの初期段階から計画を進めてきたものだと語った。
「ポルトガルでは、Rally1カーのために新しいスペックのグラベルタイヤを導入する。この仕様は、プログラムの初期段階からさまざまな関係者と計画を進めてきたものであり、新しいタイヤの導入を楽しみにしている」とチョーは語った。
「これまでのタイヤと非常によく似ているが、パターンにいくつかの変更を加えており、従来よりもさらに堅牢になっているはずだ。サルディニアやギリシャに向けて準備を進める中で、路面コンディションはより厳しく、困難になると予想している。したがって、小さな変更ではあるものの、タイヤの耐久性をさらに高めたいと考えている」
チョーは、ハンコックでは今後も必要とあればさらなるタイヤ開発を行う準備はあると説明している。「もちろん、すべてのイベントに新たな課題や環境が伴うため、方向転換が必要だと判断すればいつでも対応する準備はできている」
「迅速に対応しアップデートを提供できる能力はハンコックの一つの強みではあるが、しかし同時に、競技者に対して製品の安定性や予測可能性を提供することも重要だ。なぜなら、彼らは私たちのタイヤに合わせてパッケージを最適化することに多大な労力とエネルギーを注いでいるからだ」
「つまり、機敏に方向転換できる能力を維持しつつ、同時に安定性と予測可能性も確保する必要がある。私たちはこの2つをバランスよく両立しなければならない」
ラリー・デ・ポルトガルではグラベル用のハードタイヤ、「ダイナプロR213W WRC3」がメインタイヤとなり、ソフトタイヤの「ダイナプロR213W WRC7」がオプションとして用意される。
ポルトガルではメインタイヤのハードがRally1の各ドライバーには28本用意され、オプションのソフトは8本が割り当てられるが、各ドライバーは事前申告でオプションを8本から12本まで増やし、その場合はメインタイヤの割り当てを4本減すことができる。総使用数は、シェイクダウンを含めてRally1カーはいつもの28本ではなく36本が認められると発表されている。その他の車両の場合は26本となる。