ERC2023/05/06

パッドンがバスケットボールコートのSSで最速

(c)RedBull Content Pool

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 2023年ヨーロッパ・ラリー選手権第2戦のラリー・イスラス・カナリアスは木曜日の夜に行われたラスパルマス・グランカナリア・ステージで開幕、選手権のリーダーであるヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)がトップタイムを奪ってラリーをリードしている。

 オープニングSS のラスパルマス・グランカナリアは、市街地の1.88kmのコース内にグランカナリア・アリーナのバスケットボールコートを通過するセクションがあり、コートのセンターに設けられたドーナツターンを8000人の観客が見守った。

 注目はなんといってもこの日の朝に行われた予選ステージでトップタイムをマークした地元スペインのホセ・スアレス(シュコダ・ファビアRS Rally2)だ。母国ラウンドでのERC初優勝に向けて優位なスタートポジションが約束されたかに見えたが、このドーナツターンをうまく曲がることができずに短いこのステージで11秒もロス、29位という大きなビハインドでのスタートを強いられることになった。

 スアレスはステージエンドでガッカリしたように駆動系の問題だと語ったが、それでもこのトラブルが本格的にステージが始まる土曜日に起きなかったことは幸いだったと思い直したように語っていた

「ドライブシャフトか何かが壊れているんだ。マシンをターンさせることも、うまくドライブすることもできない。でも、今日起きたことは良いことで、明日はどうなるか待つことにしようと思う」とスアレスは語っている。

 このショートステージでトップに立ったのは、開幕戦のラリー・セーハス・デ・ファフェで優勝したパッドンだ。彼は、2番手タイムで続いたアンドレア・ヌチータ(ヒョンデi20 N Rally2)に0.4秒差をつけて首位に立ったが、3番手タイムのシモン・ワグナー(シュコダ・ファビアRS Rally2)も0.7秒という僅差で続いている。

「きちっと走り切ることを目指しただけだ。このようなステージでは明らかにドーナツをうまく楽しめばいい」とパッドンは語った。「とても楽しいステージだった。滑りやすいけど、週末を始めるにはいい方法だね」

 首位から1.2秒差の4位にはチェコのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が続き、以降、5位の地元のスラヤン・ペルニエ(ヒョンデi20 N Rally2)、6位のグジェゴシュ・グジブ(シュコダ・ファビアRally2エボ)、7位につける昨年のカナリアス・ウィナーであるニル・ソランスの弟のハン・ソランス(ヒョンデi20 N Rally2)、8位のマルティン・ラスロ(シュコダ・ファビアRally2エボ)、9位のマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)がそれぞれ0.1秒ずつの僅差でひしめき合い、10位のトム・クリステンソン(シトロエンC3 Rally2)に至ってもトップのパッドンから1.9秒遅れにすぎない。

 予選ではセットアップの問題から16番手タイムに終わったオストベルグも、やっといいフィーリングになったと笑顔をみせている。

「いい走りだった。予選ではリラックスした走りができなかったからクルマを大きく変えたんだけど、正直言って、とても楽しかった! あの良いフィーリングがあるのはいいことだよ」

 一方、このショートステージでは明日以降、ラリーの中心メンバーとなりそうな多くのドライバーがミスなく走り切ることを優先している。今週末の優勝候補と目されるフランス・チャンピオンのヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)は2.5秒差の12番手にとどまったが、ここの結果は、今後のラリーにおける競争力を左右するものではないと考えている。「もしここで速ければ、明日も速く走れるかもしれない。ここで速ければ、明日も速いかもしれないし、遅ければ、明日も速いかもしれない!」と笑顔を見せた。

 ERCチャンピオンのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)も3秒遅れの15位、チームMRFタイヤのチームメイトであるマーティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)は2.8秒遅れの13番手タイムで続くはずだったが、ステージのスタートに遅着したためリーダーボードを34位まで下げてしまった。