WRC2015/01/21

パドルシフト、モンテからWRCに5年ぶり復活

(c)VW

 電子制御によるパドルシフト式のセミ・オートマチック式ギヤボックスが2010年シーズン以来5年ぶりに世界ラリー選手権に復活する。

 2011年に1.6リッターターボエンジンのWRカーが登場した時に、コスト削減の一つとして、シーケンシャル式のマニュアルギヤボックスが採用されたが、2015年からふたたびパドル式のシフトが戻ってくる。これまでドライバーたちはシフトのために右手をステアリングから離さなければならなかったが、これからはステアリングコラムにパドル式のシフトが組み込まれるため、ドライバーたちは常にステアリングの操作に集中することが可能となる。

 フォルクスワーゲン・モータースポーツのテクニカルプロジェクトリーダーのフランソワ・クサビエ-ドゥメゾン(FX)は、新しいギヤボックスの開発は2014年シーズン早々にスタートした難航プロジェクトだったと明かした。

「新しいギヤボックスについて、我々は2014年シーズン早々に開発をスタートさせている」とFXは語った。

「我々のギヤボックスは油圧で作動するが、そのために以前よりはるかに複雑なシステムとなっており、構造そのものに多大な時間を捧げなければならなかった」

 フォードとシトロエンは以前のWRカーに採用されていたセミATの技術があるが、VWは開発をゼロからスタートさせなければならなかった。セバスチャン・オジエは、昨年の開発段階においてシフト・スピードに不満を述べていたことがあったが、FXは最初の構想より大きな油圧システムが必要になったと明かしている。

「油圧システムはかなり調整しなければならなかったし、より大きなものにしなければならなかった。それにより我々はギヤボックスケーシングを完全に新しく開発する必要があった」

 VWのシフト用のパドルはステアリングの右側の裏側におかれている。ステアリングに手のひらをおいたまま、指先をパドルに掛けて手前に引けばギヤがアップして、爪先で前方にプッシュすればギヤがダウンする方式だ。