WRC2022/07/19

パヤリ連勝、ジュニアWRCは4人のタイトル決戦へ

(c)M-Sport

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 ラリー・エストニアで行われたFIAジュニアWRCの今季第4戦は、フィンランドのサミ・パヤリが優勝を飾り、選手権リーダーに並ぶことになった。

 昨年のジュニアWRC王者のパヤリは、新たにMスポーツ・ポーランドのフォード・フィエスタRally3による4輪駆動マシンによる選手権へと生まれたジュニアWRCに今季もとどまり、王座防衛に挑んできた。しかし、彼は開幕戦スウェーデンでは燃料ポンプトラブルでのデイリタイアによる5位、第2戦クロアチアでは首位で迎えた最終日のクラッシュ、最悪のシーズンスタートとなっていた。

 前戦ポルトガルでやっと今季初勝利を飾ったパヤリは、選手権リーダーのジョン・アームストロングに11ポイント差まで迫り、先週のエストニアを迎えていた。

が優勝したことで、のタイトル争いは最後まで決着が持ち越されることになった。

 パヤリは、地元出身のロベルト・ヴィルヴェスが速さをみせながらもサスペンショントラブルで順位を落とした金曜日の午後からリードを広げ、2位のラウリ・ヨウナに対して56秒の大差をつけて土曜日をスタートすることになった。

 大きなアドバンテージを築いたパヤリは、朝から大きなリスクを冒さずにペースをコントロールする走りで首位を待っていたが、午後のループの最初のステージでは突然、リヤディファレンシャルのトラブルに見舞われてしまい、勢いが削がれてしまった。タイトコーナーでのハンドブレーキが効かなくなったパヤリは、じわじわと遅れ、そのアドバンテージはほぼ半減し、2位へと浮上したアームストロングに対して31秒をリードして最終日を迎えることになった。

 雨となった最終日、難しいコンディションのなか、4位から2位に浮上したヴィルヴェスがパヤリの後方に追い上げてきたが、パヤリは冷静な走りを維持して14.9秒差でフィニッシュし、最終ラウンドのアクロポリス・ラリー・ギリシャ(9月8日〜11日)を前に、アームストロングと同ポイントでチャンピオンシップリーダーに躍り出ることになった。

「多くのフィンランド人のファンの愛情のこもった応援を受けながらここで勝利できたことは最高の気分だ。この勝利は僕たちのチャンピオンシップ争いにも役立つ」とパヤリは高揚を隠さず語った。

 アクロポリスではダブルポイントが与えられるため、最大4人のドライバーがタイトルを狙えることになる。パヤリは勝ったドライバーが勝者になると未来を予想した。

「雨が降ってからは、よりチャレンジングになったし、週末はずっとストレスだった。ギリシャもきっと誰にとっても大きなチャレンジになる。ギリシャは、最速ではなく、生き残るためのラリーであることは間違いないので、チャンピオンについてはあまり考えない方がいいかもしれないね。去年と同じような状況で、最後のラリーで勝った人がチャンピオンだよ」

 ヴィルヴェスは、セバスチャン・オジエがJWRCの時代の2008年ヨルダン・ラリーで記録したベストタイム16回という記録を更新し、4日間を通して17回の最速タイムを記録した。しかし、金曜日に落とした1分30秒を取り戻すには、残りのステージ数が足りていなかった。

 それでも2位でフィニッシュした彼は18ポイントに加えて、ステージ勝利の17ポイントを獲得して、この週末の最多ポイントを獲得、選手権でもわずか1ポイント差で最終戦を迎えることになる。

「まだ優勝に届かなかったが、ステージポイントのおかげでここで最も多くのポイントを獲得できた。だからよかったよ。最終戦を前にしてポイントランキング3位につけており、その差は非常に小さいので、タイトルの望みは生きている!」

 最終日のトリッキーなコンディションのなか、アームストロングはメカニカルトラブルを自らの修理で解決して2位をキープしようとしたものの、オーバーシュートのために3位に後退し、最終的にはヴィルヴェスから44.5秒遅れだった。

 ラウリ・ヨーナはさらに1分16.3秒遅れの4位でフィニッシュ、選手権ではトップから6ポイント差で彼もタイトルの可能性を残している。ウィリアム・クレイトンとマクレー・キマティがトップ6までを埋めた。