WRC2018/02/17

ヒュンダイ、スウェーデンDAY1を1-2-3

(c)Hyundai

(c)Toyota

(c)M-Sport

 2018年世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンは、金曜日を終えてティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が首位に浮上、チームメイトのアンドレアス・ミケルセンが4.9秒差の2位、ヘイデン・パッドンが12.1秒差の3位で続き、ヒュンダイ・モータースポーツが1-2-3態勢を築いている。

 小雪が舞う朝を迎えたスウェーデン、ステージには5センチ近い新雪が積もっており、雪かきを強いられる先頭グループには試練の朝となった。オープニングステージのSS2ホフ-フィンスコグ(21.26km)では、1番手のポジションでスタートしたセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が除雪のされてないステージに苦戦、12.5秒遅れたために早くも10位に沈むことになった。

 しかし、オジエに続いて2番手で走行したオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)は目が覚めるような素晴らしいベストタイム、前夜のスーパーSSでトップに立った彼はリードを6.8秒に広げることになった。もちろんタナクだけがずば抜けた速さをみせただけで、トップグループは軒並みペースダウン、木曜日を2番手で終えたチームメイトのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は路面のやわらかい雪に自信をもてずに5位に後退することになった。

 これに対して12番手後方からスタートしたマッズ・オストベルグがシトロエンC3 WRCで挑む初のラリーにもかかわらずに3番手タイム、6.8秒差の2位へと浮上し、8番手スタートのミケルセンが2番手タイムで7秒差の3位、5番手スタートのヌーヴィルが4位で続くことになり、ここからヒュンダイの二人の進撃が始まることになる。

 ヌービルはSS3スヴルリヤ(24.88km)でベストタイムを叩き出して首位に浮上、ミケルセンもSS4レーデン(19.13km)のステージを制して2位へとポジションアップ、チームメイトの3.7秒差の後方にぴたりと続いて、ヒュンダイが1-2で朝のループを終えることになった。

 オープニングSSで素晴らしいタイムを奪いリードを広げるかに見えたタナクは、より雪が積もったSS3ではたまらずに2位に順位を落とし、さらにSS4の残り6km以降がまったく除雪がされていなかったためここでも20秒を失い、7位へと後退してしまった。「主催者たちはふざけてるのか。最後の6kmはまったく除雪されていない。ここを1番手で走らされるのは最初からフェアじゃない」 と彼はゴール地点で怒りをぶちまけた。

 タナクのみならず、前方からスタートしたドライバーたちはこの2つのステージでそろってタイムを落とし、3番手という走行ポジションに苦しめられたラトバラも6位にとどまってしまう。これでトヨタ最上位となる3位には、SS3で2番手タイムを奪ったエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が浮上することになった。

 午後にループになること雪は止んだが、朝よりクリーンな路面で走ることを望んでいた上位グループのドライバーたちの期待は裏切られることになる。朝走ったあと50台を越える国内戦やヒストリッククラスのマシンが走ったためにコースにはWRカーとはトレッドが異なる小さなマシンの轍が深く刻まれ、さらにラインの外にはかき出された雪が深く積もり、5番手というポジションで走る首位のヌーヴィルですらペースを落とすことになる。

 ヌーヴィルはSS5では6番手タイムにとどまり、3番手タイムを奪ったラッピがミケルセンを抜いて2位に浮上、首位のヌーヴィルまで2.1秒差まで迫ることになり、ヒュンダイ1-2態勢はトヨタの新鋭によって崩されることになった。だが、ラッピはSS6でジャンクションでブレーキをミスしてスノーバンクをヒット、エアインテイクを雪が覆い、ダウンパワーのために32秒をロス、7位まで後退することになった。

 これでふたたびヒュンダイのヌーヴィルとミケルセンが1-2態勢を築くことになったが、二人のペースはクリーンな路面を走る後続のドライバーたちには及ばない。SS6、7と連続してベストタイムを奪ったクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)がSS7を終えて3位へと浮上、ミケルセンに0.6秒差まで迫ることになった。

 だが、最後のステージでブリーンはバンクにヒット、あわやコースオフ寸前の危機を逃れたものの、大きくペースダウン、同じく11番手という後方からのスタートを武器に、SS5に続いてSS8でもベストタイムを奪ったヒュンダイのパッドンが3位へと浮上することになった。

 これで金曜日を終えて首位はヌーヴィル、4.9秒差でミケルセン、さらに7.2秒差でパッドンが続き、ヒュンダイ勢が1-2-3態勢で波乱の初日を終えることになったが、最終ステージではミケルセンが首位のヌーヴィルに猛然と攻撃を仕掛けて、わずか0.1秒を縮めるなど、トップ二人のチームメイトバトルは明日も注目を集めることになりそうだ。

 また、トラブルがあったとはいえ、ブリーンもパッドンからわずか0.5秒差の4位、わずか半日のテストだけでC3の走りに苦戦してきたオストベルグも少しずつペースをつかんで0.6秒差の5位で続いており、3台は土曜日も大接戦を繰り広げることになりそうだ。

 今季初のWRカーでの参戦となるテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)が6位、SS6のミスが悔やまれるラッピが初日を7位で終えることになった。

 後方のマシンがそろって好タイムを並べたものの、選手権をリードするドライバーたちには悪夢のようなループとなった。ラトバラは1分6秒もの遅れを喫して初日は8位。それでも彼はまだましであり、オープニングSSで期待のもてる速さをみせたタナクも1分29秒遅れの9位、クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)もいいとことなく10位に沈むことになった。さらに選手権リーダーのオジエに至ってはSS7だけで50秒近くを失い、初日を終えて2分48.8秒遅れという致命的な遅れを抱えて12位という有り様だ。

 オジエはゴール地点で「これはジョークだ・・・」と言葉少なく引きつったような笑いを浮かべるしかなかった。

 明日の土曜日は、コリンズクレスト・ジャンプで有名なヴァルゴーセン・ステージなど8SS/120kmという一日となる。初日の遅れを喫したドライバーたちがリバースオーダーで上位復活のチャンスをつかむか、それとも上位陣が逃げ切るのか。まだまだ決着の行方は見えていない。