WRC2025/11/04

ヒョンデ、ジャパンで最大限の成果を上げる計画

(c)Hyundai

 
 ヒョンデ・モータースポーツの今季のWRCのマニュファクチャラーズタイトル獲得を目指した挑戦はすでに終わっているが、ラリー・ジャパンではオイット・タナクのワールドチャンピオンを目指す戦いをサポートするとともに、2026年を視野に入れた開発を集中するという二つのテーマで戦いをスタートする。
 
 前戦のセントラル・ヨーロッパ・ラリーで、ライバルのトヨタは5年連続のコンストラクターズタイトルを獲得したが、残り2戦を残してドライバーズタイトルの行方は決まっていない。トヨタの3人のドライバーたちがトップを争いなか、ヒョンデのタナクにもタイトル獲得の可能性は依然として残されているものの、首位のエルフィン・エヴァンスとは50ポイント差と僅差ではなく、その可能性は低い。

 それでも今週末のラリー・ジャパンは不安定な秋の天候のもとで行われることになっており、さらに日本の林道はトリッキーなアスファルト路面をもっているため、ヒョンデとしてはタイトルの可能性を最後まで信じて、タナクをサポートするために全力を尽くすつもりだ。

「オイットがタイトル争いに少しでも近づけるよう、全力を尽くすことは100%明らかです」と、ヒョンデのスポーティングディレクター、アンドリュー・ウィートリーは語った。

「現実的に考えなければなりません。厳しい戦いになるでしょうが、トヨタの3人のドライバーにとっても同様に厳しい戦いになるでしょう。私たちは、少しでも挽回できるよう、全力を尽くします」

「オイットとマルティン(・ヤルヴェオヤ)は残り2戦ではまだ70ポイント獲得可能であり、ドライバーズチャンピオンシップ争いに残っている4クルーのうちの1つです。しかし、最終戦まで戦い抜くためには、他のドライバーの不調をうまく利用して、優位な立場に立つ必要があります」
 
 もちろん、ヒョンデにとってラリー・ジャパンは、ドライバーズタイトルのための争いだけでなく、2026年シーズンに向けてトヨタとのパフォーマンス差を縮めるための貴重なデータを収集する絶好の機会となる。

 効果的な実戦開発テストとなったセントラル・ヨーロッパ・ラリーに続き、ラリー・ジャパンにおいてもティエリー・ヌーヴィルとアドリアン・フールモーは、サスペンションをアップデートしたエボリューション仕様のi20 N Rally1を駆り、タナクは再び旧型のi20 N Rally1をドライブする。

「セントラル・ヨーロッパ・ラリーに向けて集中的な作業を行った後、ラリー・ジャパンではターマック性能をさらに向上させるべく取り組んでいく。ティエリーとオイットがCERでステージ勝利を果たすなど、ここ数週間の進歩は励みになりますが、今年最後のターマックイベントに向けてアクセルを踏み続け、2026年シーズンの開幕に向けて準備を整える必要があります」とウィートリーは付け加えている。
 
 ターマックラリーは、ヒョンデのi20 N Rally1にとって弱点の1つであることがはっきりしているが、ウィートリーは、トヨタとのパフォーマンスの差が最も顕著だった4月のラリー・イスラス・カナリアス以来、大きな進歩があったと考えている。

「確かに(カナリアス以来)進歩したと感じています」とウィートリーは語った。「(セントラル・ヨーロッパ・ラリーでは)ベストタイムを出していますが、このラリーは路面状況が非常に多様で、複雑な状況です。良い一歩ですが、まだそこまでには至っていません」

「それでも(トヨタとのパフォーマンス差は)おそらく半分に縮まったと思います。世界選手権は厳しい挑戦であり、だからこそ優勝者は当然ながらその成功を誇りに思うのです。もし簡単だったら、誰もがそうするでしょう」

「さらに重要なのは、(セントラル・ヨーロッパでの)チームが一丸となって問題解決に取り組んできたことです。ヒョンデには非常に才能のある人材がおり、このプロジェクトには多大な情熱と努力が注がれています。これは大きな仕事であり、私たちは前進し続けなければなりません」