WRC2025/11/18

ヒョンデ、来季に向けてチームを強化

(c)M-Sport

 ヒョンデ・モータースポーツの今季はチーム創設以来最悪といもいうべきシーズンとなっているが、来季以降にむけて決して足踏みを続けているわけではなく、チーム体制の強化が進んでいる。

 ヒョンデはこれまで行われたWRC全13戦でオイット・タナクがギリシャで優勝した1勝しか挙げることができず、セントラル・ヨーロッパ・ラリーでトヨタが早々とマニュファクチャラーズタイトルを確定させている。

 ヒョンデの将来に関しても様々な憶測が飛び交うなど、チームの未来はけっして完全に約束されたものではないようにも見える。8月になってやっと来季のWRC参戦継続をチームは表明したが、2027年からスタートするWRC27の新しいレギュレーションに従ったマシン開発にはいまだ着手できず、代わりにRally2マシンを進化させて参戦する可能性もあるようだ。
 
 それでもヒョンデの改革はやっとはじまっており、チーム体制の強化が進んでいる。まず、FIAとMスポーツ・フォードにおいて豊富なオペレーションリーダーシップを経験しているアンドリュー・ウィートリーがWRCスポーティングディレクターに就任した。さらに、ラリー・ジャパンの前にはマッシモ・カリエロ(写真)を新チーフエンジニアに、セバスチャン・メッツをオペレーション責任者に任命したことも発表した。 

 ティエリー・ヌーヴィルは、これらの人事を非常に重要視している。最近はWECのサーキットシリーズに注力しているとはいえ、ヒョンデがラリーへの関心を依然として持ち続けていることを改めて示すものだと彼は語っている。

「いくつか前向きな点がある。少し状況が好転しつつある。僕たちも雰囲気が少し変わってきているのを感じる。しかし、すぐに人材を確保するのは非常に困難だ。でも僕たちは本当に急いで人材を必要としている」とヌーヴィルは語った。

「2026年、あるいはそれ以降を見据えると、多少は時間があるかもしれないが、あまり多くはない。その意味では、未来に向けてあらゆる可能性が開かれていると思う。少なくともヒョンデにとってラリーはまだ終わっていないというのは良い知らせであり、うれしいことだ。これは未来への希望を与えてくれる」

 今季のヒョンデのWRCにおけるパフォーマンスは、明らかに試行錯誤の域に留まっているように見えた。あるいは、トヨタがあまりにも強すぎたのかもしれない。2026年も同じマシンを使い続けることを踏まえると、短い冬季休暇中にライバルとの差を大きく縮めることは難しいだろう。

 それでも、新たなエキスパートの採用はヒョンデのラリー運営にとって重要な意味を持つ。カリエロとメッツはいずれもそれぞれの部門におけるヒョンデ・モータースポーツの活動全般を統括する。

「26年シーズンは非常に厳しいものになることは承知している。残されたジョーカーは年末までに決定する必要があるため、時間はあまりない。現時点では、来年の競争力を高めるために具体的に何をすべきか、まだわかっていない」とヌーヴィルは続けた。

 来年、少なくともフルタイム参戦からは一度身を引くことになるオイット・タナクは、新しいエンジニアリング責任者のカリエロをよく知っている。

「マッシモのことは昔からよく知っている。Mスポーツ時代に一緒に仕事をしたことがあり、彼は本当に鋭い洞察力を持つ人物で、まさに今のチームにとって必要な存在だと思う。彼の活躍を心から願っている」とタナクは語る。

「実際のところ、i20 N Rally1はグラベルでは常に競争力があった。ただ、ターマックでいくつか問題があった。おそらくそれが弱点となったのだろう。それを克服して、来年に向けてうまく機能させる必要がある」