WRC2022/05/31

ピレリ、高温サルディニアで試される耐久性

(c)Pirelli

 今季のWRCの最高気温が予想される今週末のラリー・イタリア・サルディニアは、ピレリのグラベルタイヤ、スコーピオンKX WRCにとっても厳しい条件下での性能が試されることになりそうだ。

 ピレリは今季初のグラベルラウンドとして行われた前戦のラリー・デ・ポルトガルにおいて今年から導入されたハイブリッドRally1カーの重量とトルクに最適化させるために強度と耐久性の向上に重点を置いた開発した新しい構造をもつグラベルタイヤのスコーピオンKX WRCを投入している。しかしながら、ポルトガルのとくに金曜日午後になっていっそうラフなコンディションとなったアルガルベ丘陵のステージではパンクするドライバーが続出、スペアタイヤ1本で2度のパンクに見舞われてリタイアとなったセバスチャン・オジエをはじめ、オイット・タナク、クレイグ・ブリーンがいきなり優勝争いから脱落する波乱のラリーとなっている。

 今週末にラリー・イタリアが開催されるサルディニア島は例年、30度を超える高温に見舞われており、今週も35度近い気温が連日続くことが予想されている。路面は砂地のグラベルがベースとなるが、とくに2回目の走行では険しい岩だらけの道がタイヤにとって過酷なテストベッドになることが予想されている。

 今季のWRCの最高気温も予想されるサルディニアに向けて、ピレリは耐磨耗性や耐久性を発揮するハードタイヤのスコーピオンKX WRC HAをファーストノミネート、砂地の路面や湿ったグラベルでのグリップに優るソフトタイヤのスコーピオンKX WRC SAをオプションとして用意している。

 ピレリはサルディニアに約1500本のタイヤを持ち込み、そのうち480本をトップカテゴリーのRally1カーに供給する。Rally1のドライバーには、ハードタイヤのHAが24本、ソフトタイヤのSAが8本割り当てられ、シェイクダウンを含めてそのうち28本までタイヤを使用することが可能となる。さらにグラベルイベントでは今季から新しいルールでは、シェイクダウン前に各ドライバーが標準の割り当てに加えて、さらに4本のタイヤをいずれかのコンパウンドで選択することができる。

 ピレリのラリー・アクティビティ・マネージャー、テレンツィオ・テストーニは次のようにコメントしている。

「今シーズン初のグラベルイベントとなったポルトガルでは、誰もが予想した以上に過酷なコンディションに見舞われた。サルディニアもいつも過酷なラリーであり、とくに2回目のステージでは路面がひどく悪化する可能性がある。天候はより安定し、気温も高いので、ハードコンパウンドがメインとなるが、ソフトコンパウンドの優れたグリップもチームにとって興味深い選択肢となるだろう」。

 また、WRC2のRally2カー、WRC3のRally3カーに供給されるグラベルタイヤはスコーピオンKとなる。Rally2カーにはK4A(ハード)とK6A(ソフト)の2種類、Rally3カーはK4(ハード)とK6(ソフト)の2種類が用意されており、ともにハードが22本、ソフト8本が割り当てられ(追加で4本選択可能)、シェイクダウンを含めてそのうち最大で26本を使用することが可能となる。