ERC2023/03/12

フィンランド王者ヘイッキラがERC開幕戦をリード

(c)RedBull Content Pool

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 2023年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)開幕戦のラリー・セーハス・デ・ファフェ・フェルゲイラスは、雨で波乱の展開となった土曜日を終えてフィンランド・チャンピオンのミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がリード、4.2秒差でMRFディーラーチームのマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)が続いている。

 ファクトリーチームからWRCに参戦したことがあるトップドライバーが5人も出場したことで注目を集めたラリー・デ・ファフェは、金曜日の夜、ターマックと石畳のファフェ市街地で行われたスーパーSSで開幕、地元のリカルド・テオドシオ(ヒョンデi20 N Rally2)がトップタイムを叩き出してオーバーナイトリーダーとなったが、雨で滑りやすくなったターマックと石畳のステージでは多くのドライバーが慎重なペースでスタートすることになった。

 チーム・ヒョンデ・ポルトガルのクレイグ・ブリーン(ヒョンデi20 N Rally2)もその一人だ。9番手タイムという控えめなペースで初日をスタートした彼は、予選ではトップタイムを奪っており、金曜日の巻き返しが注目されたが、オープニングステージの1.2km地点でオーバーシュート、いきなり14秒もロスして17位まで後退してしまった。

 予選で一番時計を奪った彼はスタートオーダーセレクションで3番手の走行順を選んだが、ゴール地点でこの選択が間違っていたと不満気だ。「昨晩はロードポジションで愚かなミスを犯してしまった。そのためちょっとしたミスを犯してしまったよ」

 ステージは低い曇から雨が降り続いており、かなりぬかるんだセクションとやや湿り気をもったルースグラベルが路面を覆ったセクションがミックスしており、トリッキーなグリップ変化に誰もが苦しむことになった。ここでベストタイムを奪ってスタートしたのはオストベルグだ。予選で2番手タイムを奪った彼は、一番手で土曜日をスタートすることをチョイス、この選択が正しかったことを証明するように初日の22番手から一気に首位に躍り出したが、彼もまた苦しいコンディションだと訴えている。「正直なところ、生き残るために必死だった。どうにかグリップを維持できたと感じたが、なんとか続けていきたい」

 オストベルグはSS3では僅差で続くヘイッキラに一度は首位を譲ったものの、SS4では2度目のベストタイムを奪い、1.1秒差でリードを奪うことになった。

 ヴィエイラ・ド・ミーニョのSS5は雨と霧のためにキャンセル、午後のループの2回目の走行が予定されたSS9もキャンセルとなり、午後のループはさらに悪化する天候との戦いになることは予想された。

 午後の最初のステージで速さを見せたのはブリーンだ。朝のループでミスのため大きく遅れた彼だが、そのあとは比較的にドライコンディションのステージが続いたためペースをアップ、SS3でベストタイム、SS4でも2番手タイムを奪って3位まで浮上、このSS6ではベストタイムを奪ってトップへとポジションを上げることになった、

 だが、首位に立ったのもつかの間、ブリーンは続くSS7でタイヤ交換のためにマシンをストップ、さらにもう一本をパンクしてステージをフィニッシュすることになり、2分44秒を失った彼は優勝争いからは完全に脱落してしまう。「大混乱に陥ったね。正直なところ、簡単に回避できたはずなんだけど、R5マシンに乗るといつもこのようなことが起きてしまう。もちろんピレリのせいではない」

 朝のループをトップで終えたオストベルグは、SS6でハンドリングに不調を覚えてヘイッキラにポジションを譲ることになり、さらにマシンから異臭がすると訴えていたが、その状況はSS7でも続いている。「低速域にパワーがないような気がして、ハイギアで走らないといけないような気がするんだ」と彼は説明していた。

 このSS7は後続のポルトガル・チャンピオンのアルミンド・アラウージョ(シュコダ・ファビアRally2エボ)のクラッシュで途中でキャンセル、さらに続くSS8も天候悪化による安全性の問題からキャンセルとなったことから、ファフェの初日は早々にゴールを迎えることになり、SS7を終えた時点でトップに立っていたヘイッキラがオストベルグに4.2秒差をつけてレグ1をリードしてこの日を終えることになった。

 ヘイッキラもまたオストベルグ同様にマシンに技術的な問題を抱えており、二人ともステージのキャンセルに救われることになったのかもしれない。

「このSS7は信じられないくらいに深いわだちになっていた。どうにか大丈夫だったが、バッテリーに問題があったんだ」とヘイッキラは語った。

「グリップやマッドな場所を見つけるのが一番難しかった。フィンランドでは、雨が降ったり濡れたりしても、こんなに泥だらけになることないからね。でも、いい勉強になったし、ペースも問題なかったから、戦いに参加できているよ」

 オストベルグから13秒遅れの3位には、BRCレーシングチームのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)が続いている。タイヤの使い方に悩みながらも少しずつペースを上げてきた彼は悪コンディションのSS7で2番手タイムを記録し、ブリーンの問題を最大限に利用して、ゲオルグ・リンナマエ(ヒョンデi20 N Rally2)を抜いて3位までジャンプアップしてきた。

 5位にはチームMRFタイヤのマーティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)、6位にはミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRS Rally2)が続いている。

 チェコ・チャンピオンのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアRS Rally2)は、SS2でパンクによりタイヤ交換を行ってコース復帰をした直後にダンパーがボンネットを貫通するトラブルに見舞われたためリタイアとなっている。

 なお、SS7でクラッシュしたアラウージョとコドライバーのルイス・ラマーリョが病院に搬送されたことから心配されていたが、チームは二人には明らかな身体的損傷はないが、念のために検査すると発表している。

 明日の最終日に残されるのは7SS/84.29km。ペドラ・センタダのジャンプがある伝説のステージ、ラメイリーナ・ステージがファフェでは初めて開催されることになっている。