ヒョンデ・モータースポーツに加入したばかりのアドリアン・フールモーは、ヒョンデi20 N Rally1でのデビュー戦となったラリー・ナショナル・イヴェルナル・デュ・デヴォリュイでカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)を破って優勝を飾った。
ラリー・デュ・デヴォリュイはフールモーとロヴァンペラにとっては非常に重要な意味をもつイベントだ。ロヴァンペラにとってはRally1カーでのターマックラリーは1年ぶりとなり、2年ぶりに出場するラリー・モンテカルロのための準備となる。そしてMスポーツからヒョンデへ移籍して新シーズンを迎えるフールモーにとってはまったく新しいマシンのドライビングを習熟する絶好のチャンスとなった。
大雪が降る朝を迎えた土曜日を終えて、フールモーはロヴァンペラに対して16秒をリードしたが、最終日の日曜日も朝の3つのステージのうち2つを制してリードを26秒へと拡大する。ロヴァンペラは午後の3ステージのうちの最初の3ステージでベストタイムを奪い、フールモーまで9.4秒差まで迫ったが、最終ステージではこの週末4つめのベストタイムを奪ったフールモーがロヴァンペラに15.5秒差をつけて優勝を飾ることになった。
新しいチーム、新しいマシン、新しいレーシングスーツ、新しいヘルメットで優勝を飾ったフールモーは、新しいシーズンが楽しみになったとコメントした。「雪のなかでパワースライドを楽しんだし、新しいマシンにも少しずつだが慣れることができた。僕にとってはそれが一番重要な目標だった。複雑な路面を走ることもできたし、新しいシーズンが楽しみだよ」
ラリー・デュ・デヴォリュイは冬のフレンチアルプスで開催され、1か月余り後に行われる2025年のシーズン開幕戦ラリー・モンテカルロと同じ条件で争われることになった。フールモーとロヴァンペラはともに新しいハイブリッドシステムを装着していない2025年仕様の新しいRally1カーでここに臨んでおり、2台の純粋なパフォーマンスの比較も期待されたが、二人とも初日はピレリと新しいWRCコントロールタイヤであるハンコックを比較しながら走り、最終日もアイスがところどころに残り、ウェットとドライがミックスした典型的なモンテカルロを思わせるコンディションのなかで、スノータイヤとドライタイヤをミックスして使用するなどあえて妥協的なタイヤ戦略を選びながら本番に備えたテストメニューをこなしていたため、二人の純粋な速さをこの結果で判定すべきではないだろう。
トヨタもヒョンデもクリスマス休暇までにはさらなるテストを行い、すべてのドライバーが新しいRally1カーとハンコックの組み合わせでテストを実施するとみられている。2023年のラリー・ジャパン以来、久しぶりにRally1カーでターマックラリーを走ったロヴァンペラは「ラリー・デュ・デヴォリュイで今シーズンも完了だ!僕らはモンテカルロのためのたくさんのテストをすることが目標だったので、その仕事は完了したと言えるだろう。新しいシーズンが始まるときに準備ができていることを願っているよ。でも今は短いオフシーズンを楽しむ時だね!」とロヴァンペラは語っている。
2025年シーズン開幕戦となるラリー・モンテカルロは1月23〜26日に開催される。