WORLDWIDE2017/09/24

ベイツのヤリスAP4がオーストラリア・デビュー

(c)Toyota Australia

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 オーストラリア・ラリー選手権(ARC)のチャンピオン候補であるハリー・ベイツは、2017年のタイトル獲得を確実なものとするために先週末のラリーSA(サウス・オーストラリア)において新しいトヨタ・ヤリスAP4をデビューさせたが、電気系とみられる問題のためにリタイアとなってしまった。

 ARCのタイトルを4回獲得したニール・ベイツの息子であるハリー・ベイツは、これまでシーズン、旧スペックのトヨタ・カローラS2000を駆り、ドライバーズ選手権で僅か3ポイントの差でトップに立っており、今年の最後の2ラウンドで1.6リッターターボ・エンジンを搭載したパワフルな新しいヤリスAP4をデビューさせることを決めた。彼はスタート前、全く新しいマシンですぐにスピードアップすることの難しさを認識する一方で、新しいマシンを勝利に導くことに自信を持っていると語っていた。

「新しいヤリスは、ラリーSAでの選手権デビューのちょうど一週間前に最初の本格的なシェイクダウンをしたが、完璧なパフォーマンスで期待に応えた」と、ベイツはラリーのスタート前に高まる期待に声を弾ませていた。

 ベイツのヤリスAP4のエンジンは、ローカルのAP4のラリー・レギュレーションに基づいて製作されたものであり、オーストラリアで自然吸気型のセリカとカローラ・スポルティーボのエンジンである1.8リッターのツインカム・16バルブ・トヨタ2ZZ-GEエンジンのストロークを減らして1.6リッターに排気量を落としてターボを装着、34mmのエアリストリクターで吸気量は制限されるものの、最大馬力300hp、最大トルク420Nmを誇っている。

 サデフの6速シーケンシャル・ギヤボックス、サデフのディファレンシャルをフロントとリヤに搭載、ブレーキシステムはAPレーシングのキャリパーとサデフの油圧ハンドブレーキを備えたスロット付きベンチレーテッド・ディスクで構成されている。

「我々はラリー前のシェイクダウンで、ヤリスを選ぶという決意を固めた。ヤリスは小さく軽い車体に、パワフルなターボエンジンを搭載している。軽快な加速、軽快なハンドリングをもたらすサスペンションを備え、サスペンション・トラベルも優れていたから迷うことはなかったよ」

 だが、完璧なシェイクダウンだったにもかかわらず、ヤリスAP4はデビュー戦でわずか1ステージしか走ることができなかった。ベイツは土曜日の朝、オープニングSSが始まる直前でエンジンにミスファイアが発生、スタートしてすぐにエンジンが深刻な状態のために彼はサービスへ戻ることを決意することになった。

 最初はウエストゲートに問題があると考え、そうではないことがわかると原因を突き止めるための作業は深夜に及び、チームはカムシャフトセンサーがこの問題の原因があることに期待を掛けてクルマを翌日曜日に送り出したものの、わずか1ステージを走ったあとでふたたび彼はストップすることになってしまった。

 しかし、ベイツによれば、この初めて走り切ったステージでも後半にミスファイアで失速することになったが、このステージを初めて走ったにもかかわらず、3回目の走行だったニール・ベイツよりも中間の区間では2秒も速く、新しい選手権リーダーとなったモリー・テイラーのスバルよりも3秒も速かったことから、ヤリスAP4の速さに勇気付けられたと語っている。

「がっかりしたことは確かだが、このマシンのポテンシャルがあることがわかった。ドライブするたびにいい走りができるようになったし、問題が一度解決してしまえば、きっと特別な速さをみせてくれるはずだよ」

 深刻な問題があったにもかかわらず、ベイツは世界ラリー選手権とともにオーストラリア選手権の最終ラウンドとして行われる11月のラリー・オーストラリアにおいてヤリスAP4をふたたび投入するという。ニール・ベイツ・モータースポーツを運営するニール・ベイツは、ヤリスの問題を解決すれば、最終戦のラリー・オーストラリアで素晴らしいスピードをみせてくることに自信をもっている。

「100kmのテストが完璧だったが、ラリーのスタートからミスファイアに見舞われてしまった」とニール・ベイツは語った。

「しかし、ハリーが日曜日の朝に走ったステージでは、より小さなマシンが見せてくれた素晴らしい速さを確認できたし、それで行くことが前進の道だということがはっきりした。バグを取り除くと、速い車になすはずだし、ラリー・オーストラリアに行く前に、より多くの走行を行い、細かいチューニングを行う予定だ」

 選手権ではモリー・テイラーが2年連続のチャンピオンにむけて260ポイントでリードしており、ネイサン・クインが230ポイント、ノーポイントに終わったハリー・ベイツは65ポイント差の195ポイントと大きく引き離されてしまった。