ERC2023/05/07

ボナート、ERCカナリアスで圧勝

(c)RedBull Content Pool

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 2023年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第2戦のラリー・イスラス・カナリアスは、フランス・チャンピオンのヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)が2度目のERC優勝を飾ることになった。

 カナリア諸島のグランカナリアス島で開催されるラリー・イスラス・カナリアスは5月6日に最終日を迎えることになった。金曜日の朝、4つのベストタイムを奪ってレグ1のリードを奪ったボナートは、2位につけるヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)に11秒差を築いてレグ2をスタート、そのオープニングSSでパッドンをさらに1.8秒引き離すことに成功する。

 スペアタイヤを2本ではなく1本でスタートしたボナートは、ステージエンドで不安はなかったのかと聞かれ、「誰も大きなタマを持っていないんだろうね」と笑った。

 不安定な天気となっているグランカナリアスはこの日も午後から雨が降るとの予報だったが、予想より早く降り出し、早くも次のSS9ではいくつかのセクションが湿ったものとなった。だが、ボナートは27.74kmのこのステージで宣言どおりに度胸のある走りをみせて、パッドンに19.4秒もの大差をつける圧倒的なベストタイムを記録、リードを一瞬のうちに32.2秒まで拡大してみせた。

 どうやったのか聞かれたボナートはふたたび笑顔をみせた。「わからないよ、本当に何もせず、ただマシンを左右にターンさせて、ブレーキをかけるだけで、時には遅すぎることもあった。でも、グリップを読むのは難しかったよ!」

 ボナートは次のSS10でも3連続でベストタイムを奪い、34.3秒をリードして朝のループを締めくくることになった。

 大差をつけられたパッドンも、もはやボナートの追撃を続けてプレッシャーをかけるつもりはない。「正直なところ、今日は優勝を狙ってプッシュはしなかった。悪く言うつもりはないが、ボナートは本当に素晴らしいタイヤチョイスをした」

 ボナートは午後のループの最初のステージでは2番手タイムで発進、前ステージでシケインに接触したことが報告され、10秒のペナルティが課されたものの、2つのステージを残して25.1秒をリードしており、勝利を脅かすほどではない。最終ステージでは上位陣を祝うように突然の雨が降り始め、2位につけるパッドンも安全なペースを落としたため、ボナートは最終的に36.9秒差をつけてカナリアスに勝利することになった。

「本当に信じられない、信じられない!」と、ボナートは喜びを語った。「チームも完璧、タイヤも完璧、クルマも完璧。最後までトリッキーなコンディションだったが、とても、とてもうれしいよ」

 パッドンは、ターマックでの経験値の少なさからこの週末の表彰台は難しいと考えていたと明かし、ボナートに続いて2位でフィニッシュできたことは、選手権のリードを維持するためにも完璧な結果だったと語った。「表彰台を獲得できたことは予想以上だったので、本当にうれしい。天候が良ければ、パワーステージのポイントも狙えただろうが、タイヤが合わなかった。BRCチームのみんなには本当に感謝している。ターマックではまだまだこれからだが、いいステップになったし、チャンピオンシップの観点からも完璧な結果だ」

 ERC表彰台の残りをめぐるバトルは最後まで激しくなった。ERCチャンピオンのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が3位で最終日を迎えたものの、フランスのグラベルチャンピオンであるマティユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が前日のSS4のタイムコントロールへの遅着で10秒のペナルティが課せられたことを不服として抗議、ペナルティを取り消すことに成功したため、8位から4位へとジャンプアップ。最終ループを二人は1.9秒差で迎えることになった。

 だが、逆転の表彰台のチャンスが暖かに見えたフランセスキは終盤の雨で失速して7位へと後退、ヤレーナがERCで3位フィニッシュを果たすことになった。

 昨年のカナリアスの勝者、ニル・ソランスの弟、ハン・ソランス(ヒョンデi20 N Rally2)はSS2でトップに立ち、ソランス兄弟が2年連続でカナリアス・ウィナーになることも期待されたが、彼はその直後にパンク、12位まで後退したあと追い上げて終盤には総合3位に浮上することになった。だが、ERCポイント登録をしていなかった彼は激しい雨となった最終ステージでは、スペイン選手権のポイントをしっかりキープするためにペースを落として総合4位でフィニッシュした。

 5位にはイヴァン・アレス(ヒョンデi20 N Rally2)、6位にはシモン・ワグナー(シュコダ・ファビアRS Rally2)が続いている。

 昨年のERCで選手権2位となったハビエル・パルド(ヒョンデi20 N Rally2)は、この2人の前にいたはずだが、朝のループでダブルパンク、スペアタイヤを1本しかもたなかった彼はリタイアに追い込まれていた。

 ERC3カテゴリーは、Mスポーツ・ポーランドの新しいフォード・フィエスタRally3エボを駆ったジョン・アームストロングが唯一のエントリーとなったが、彼は力強いペースをみせてカテゴリー優勝を果たすとともに総合21位でフィニッシュした。

 ERC4は、前日までリードしていたロベルト・ダプラ(プジョー208 Rally4)がリタイアとなったため、ベンデグス・ハンゴディ(プジョー208 Rally4)が優勝を飾った。