ERC2023/05/06

ボナートがカナリアスの初日をリード

(c)RedBull Content Pool

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 2023年ヨーロッパ・ラリー選手権第2戦のラリー・イスラス・カナリアスは、本格的な競技初日が終了し、4度のフランス・チャンピオンに輝いているヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)が4つのベストタイムを奪ってレグ1のリードを奪ったものの、開幕戦で優勝を飾ったポイントリーダーのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)も11秒差で続く展開となっている。

 ラリー・イスラス・カナリアスの金曜日は、前夜の雨によって予想外のウェットコンディションでのスタートとなった。しかし、オープニングステージは水たまりも残っているも雨は完全に上がっており、強い日射しで路面が徐々にドライに変わったため、出走順が後方のドライバーほど有利になった。

 このコンディションのなか素晴らしい速さをみせて首位に立ったのは、昨年のカナリアス・ウィナーであるニル・ソランスの弟のハン・ソランス(ヒョンデi20 N Rally2)だ。35番手という後方からのスタートに助けられた彼に続くのは、予選ステージでクラッシュしたため22番手というポジションでスタートしたERC王者のエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)もその恩恵を受けて3.8秒差の2位、セットアップの問題から予選16番手タイムに沈んだマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)も4.7秒差の3位に躍り出た。

 このコンディションでは、予選で上位につけたドライバーにとっては不利なコンディションとなり、一番手でのスタートを選んだボナートは首位から24秒遅れの14位、5番手からスタートしたパッドンも22秒遅れの11位と出遅れてしまう。

 だが、二人は完全なドライになった次のステージからはペースを上げ、2連続でベストタイムを奪ったボナートは、首位のヤレーナとの差を19.6秒も削りとって朝のループを終えて0.7秒差の2位へと急浮上することになった。

 しかし、ヤレーナは木曜夜に行われたスーパーSSで、ドーナツターンの1つで、イン側のバリアに接触してバリアが移動したため、360度スピンを適切に行わなかったためロードブックで規定されたルートから外れたと判断されて10秒のペナルティを課されてしまう。これでボナートが首位へ、5秒差の2位にはアンドレア・ヌチータ(ヒョンデi20 N Rally2)、5.5秒遅れの3位には連続して2番手タイムで遅れを挽回したパッドンが躍進、ヤレーナはトップから9.3秒遅れの4位へと後退することになった。

 トップに立ったボナートは、その後も手を緩めず、午後の3つのステージで最速タイムを2回記録し、土曜日の最終日に向けてリードを守った。

「妻を愛しているのは確かだが、タイヤとマシンのことも愛している。どちらかなんて選べないよ」とボナートは微笑んだ。「今日は本当に完璧な一日だった。ドライビングも悪くないし、コドライバーも悪くないし、(こんなに上手くいったことに)少し驚いている。明日がどうなるか楽しみだ」

 初日夜にイベントをリードしたパッドンは、朝のウェットコンディションでタイムを落としたあと、ボナートを追いかけるようにドライ路面で速さをみせてSS5でヌチータを抜いて2位へと浮上したが、それでも彼はどの程度のスピードで走ればいいのか判断に迷ったようだ。

「プッシュしすぎるとタイヤが酷使され、スピードを緩めると速度が遅すぎるように感じるんだ」とパッドンは語っていた。それでも、この日の最終ステージのサンタ・ルシアでは、0.2秒差でボナートを上回り、最速タイムを記録した。

 前のステージ終了時にステージをお菓子のJelly Babyに例えてここはお気に入りではなかったと語ったパッドンだが、ここではやっとお気に入りの味の緑色のジェリービーンズを引き当てたようだ。「これが僕が求めていたJelly Babyだ! 僕は緑色の味が好きなんだけど、タイヤマネージメントがすべてだった」

 10秒のペナルティを受けて4位に後退したヤレーナは、午後のループの最後のステージでタイヤを摩耗させてアンダーステアに苦しむヌチータを抜いて3位へと浮上、首位から24.2秒遅れで初日を終えることになった。

 5位争いは、スペイン勢の激しいバトルになっており、ハビエル・パルド(ヒョンデi20 N Rally2)とイヴァン・アレス(ヒョンデi20 N Rally2)の差はラリー・イスラス・カナリアスの7つのステージを終えた時点で、わずか0.1秒にすぎない。さらに1.5秒後方にはハン・ソランスが続いている。彼はSS2でトップに立った直後にパンク、12位まで後退したが、どうにか7位までポジションを戻してきた。

 フランスのグラベルチャンピオンであるマティユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRally2エボ)もさらに0.5秒遅れでこの争いに加わっている。SS4でチェックインに1分遅れたことによるペナルティがなければ、彼は総合3位につけていた計算だ。

 また、開幕戦ファフェで終盤までトップ争いをみせたミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)は、経験不足のターマックラリー参戦4戦目のため19位となっている。

 金曜日のオープニングSSで3位につけたオストベルグは、その直後にドライブシャフトを破損してしまい、首位から2分近く遅れた23位に沈んでいる。

「最初のステージのあとロードセクションでドライブシャフトが壊れてしまったんだ。部品はないし、どうしようもなかったと」と、開幕戦2位のオストベルグは説明した。「僕たちは優勝争いをするためにここに来たし、そのためにとても良いポジションにいたと思う。それが失われて残念だよ」

 ERC3は、新しいフォード・フィエスタRally3エボでの公式戦デビューに臨んでいるジョン・アームストロングが、同クラスで唯一のエントラントとしてラリーをリードしている。ERC4はロベルト・ダプラのプジョー208 Rally4がリードしている。