WRC2018/05/19

マキネン、「ラリーはこれほどまでに過酷なもの」

(c)Toyota

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 トヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームは、ラリー・デ・ポルトガルの初日、想定外の厳しい現実を突きつけられることになった。金曜日がスタートして間もなく二人のドライバーが相次いでマシンを止めることになった。

 木曜日のSS1でトップタイムを記録してトップに立ったオット・タナクは、前戦アルゼンチンの再現も期待されたが、SS2の高速左コーナーでいくつか転がっていた岩にクルマが当たりラジエータを破損してマシンをストップすることになったが冷却系だけでなくエンジンにもダメージが及んでいたことから、ラリーから完全リタイアすることになった。

 また、ヤリ-マティ・ラトバラもSS3で岩に当たってサスペンションを破損したためデイリタイアになったが、彼はラリー2規定に基づき、明日のデイ3で再出走する予定だ。

 チーム代表を務めるトミ・マキネンは、ラリーはこれほどまでに過酷な結果になりうるとして現実を認めながらも、それでもポジティブであり続ければならないとチームに檄を飛ばした。

「今日の結果は、ラリーが、そしてモータースポーツがいかに苛酷になり得るかを示すものだ。ある日は物事が非常に上手く進んだとしても、またある日は本当に厳しい状況に追い込まれる。今日は、我々にとって良き日ではなかったが、それでもポジティブであり続けることが重要だ」とマキネン代表は語った。

「オット(・タナク)は極めて順調に見え、とても力強く感じられていただけに、我々にとってこれまで経験したことがないほど大きな失望になった。でも、彼は次のサルディニアで必ずや活躍してくれるはずだ。ヤリ-マティ(・ラトバラ)の件についても、皆とても残念に思っている。今回、彼は本当にミスなく走ろうとしていたことを私は知っている。チームは素晴らしい仕事で、明日再出走できるようにクルマを修復したし、彼が明日、速さを見せてくれることを期待している」

 タナクはアルゼンチンを終えて選手権リーダーまで28ポイントまで迫りながら、このクラッシュでふたたびノーポイントとなってしまったが、彼はヤリスのパフォーマンスに自信があるため、ふたたび挽回のチャンスがあると信じている。

「本当に残念なことが起きた。最初のステージを走り出してすぐに、多くの岩が転がっている路面に遭遇した。1つや2つではなく、いくつもの岩があり避けることができなかった。ラジエータを壊したためエンジンに問題が生じたためすぐにマシンを止めたが、このラリーでの修復は不可能な状態だった」

「選手権争いにとっては大きなマイナスだが、本当にすべてが終わるまではチャンスがあるので、これからも戦い続ける。僕らにはパフォーマンスがあるので、次戦サルディニアでは優勝争いに加わることが目標だ」

 また、ラトバラはアクシデントの状況を説明した。

「最初のステージは少し慎重に走り過ぎたので、次のステージでは最初から攻めて行った。しかし、5km程走ったところの左から右へと連続するコーナーの途中にペースノートにも記していた岩があり、それを意図的に乗り越えたが、右フロントサスペンションが壊れ、止まらざるを得なくなったんだ」

 トヨタにとってこの日、唯一人生き残ったエサペッカ・ラッピは午前中のステージでグリップ不足に悩み総合11位となったが、デイサービスでクルマのセットアップを改善した結果、午後のスープではスピードアップに成功。ダンパーにオイル漏れのトラブルが発生して最後のショートステージではスピンに見舞われるが、総合5位にポジションを上げている。

「朝はあまり自信を持って走ることができず、ベストではなかったが、クルマの横方向のグリップが十分に感じられず、思うように攻めることができなかった。午後のステージは、自分のこれまでのキャリアの中でもっとも荒れた路面コンディションで、非常に多くの岩が転がっていたが、どうにか最後まで走りきった。ポジションも思ったよりも悪くないし、明日は順位をさらに上げられるように頑張るよ」