ポーランド出身のミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRS Rally2)が、ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の新チャンピオンに輝いた。
ERC最終戦のクロアチア・ラリーは10月5日に最終日を迎え、アイルランド出身のジョン・アームストロング(フォード・フィエスタRally2)が2戦連続優勝を飾る一方、マルツィックが3位でフィニッシュを果たし、ヨーロッパ選手権のタイトルに輝くことになった。
先月、英国ウェールズで行われたラリー・ケレディギオンでERC初優勝を果たしたアームストロングは、クロアチア・ラリーでも初日から素晴らしい速さをみせて首位を快走するなか、タイトル候補の一人だったアンドレア・マベリーニ(シュコダ・ファビアRS Rally2)がコースオフしたことで、マルツィックはERC初タイトル獲得に一歩近づき、6位で最終日を迎えることになった。
大雨によってフルウェットとなった最終日、アームストロングは逆転タイトルのわずかなチャンスを信じてチャージを続けることになったが、ラリーはマルツィックに有利な流れとなる。彼はそのままのポジションをキープすればタイトル獲得という状況のなか、2位につけていたロベルト・ヴィルベス(シュコダ・ファビアRS Rally2)がコースオフで後退、4位につけていたスウェーデンの新生ミッレ・ヨハンソン(フォード・フィエスタRally2)もクラッシュで消えてしまい、最終的に3位へとポジションを上げてフィニッシュ、優勝を飾ったアームストロングに6ポイント差でタイトルを獲得した。
マルツィックは今季、シーズンを通して一度も優勝できなかったものの、出場した8つのイベントで、2位1回、3位4回を獲得。今年のステージウィンはわずか9回だったものの、その安定した走りはチャンピオンシップ獲得に十分だった。
マルツィックはこの最終戦でもトップから1分46秒遅れながらも悠々と3位でフィニッシュ、初タイトルの歓喜に沸くことになった。
「何と言っていいか分からないくらい嬉しいよ。色々な感情が渦巻いている。ラリーは僕のスポーツ人生における最大の夢だから、ここまで信じてこの道のりを歩んできた」とマルツィックは語った。
「15歳の時にカートからスタートし、その後ラリーに挑戦することを決意しました。ポーランド人ドライバーにはヨーロッパ・チャンピオンが3人いる。ソビエスワフ・ザサダ、クリストフ・ホロフチッチ、そしてカイエタン・カイエタノヴィッチだ。彼らと同じグループにいられることは、とても特別なことだ」
アームストロングは難しいコンディションとなったクロアチアのターマックステージで圧倒的な強さを見せ、マッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)に45.7秒差をつけて2連勝を果たして、選手権2位でシーズンを終えることになった。
「素晴らしいラリーだった。今日は危険なコンディションの中でマシンをコントロールする必要があったが、とにかく全力を尽くしたよ。パワーステージでは最速だったし、タイトル争いではこれ以上のことはできなかった」とアームストロングは語った。
一方、クロアチアでポイントを獲得できなかったマベリーニは、総合3位に甘んじることになった。
FIAラリースターのロメット・ユルゲンソン(フォード・フィエスタRally2)は、土曜日の朝、ベストタイムを奪って3位までポジションを上げて、その速さが注目される週末となった。土曜日の最終ステージでパンクに見舞われて最終日を8位でスタートしたものの、上位勢のトラブルにも助けられて、4位でクロアチアを終えている。
WRCセントラル・ヨーロピアン・ラリーへの準備としてこのイベントを利用したヴィルベスは、SS8でのコースオフにより2分以上もタイムをロスしたものの、MRFタイヤのトップランナー、ラウリ・ヨーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)を抑えて5位でフィニッシュした。