WRC2017/11/17

ミケルセン、オーストラリアの初日トップ

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 2017年世界ラリー選手権(WRC)最終戦ラリー・オーストラリアが17日金曜日に開幕、ヒュンダイ・モータースポーツのアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)がこの日行われた6つのロングステージのうち5SSでトップタイムを奪い、2年連続勝利にむけて好スタートを切っている。彼は昨年の初日から28SS連続してラリーをリードしている計算だ。

 夏の陽射しが数日間続いていたコフスハーバーだが、金曜日は曇り空の朝を迎えることになった。小雨がステージに降ったという情報もあったが、オープニングSSのピルバラ・ステージは完全なドライコンディション。先頭グループが路面掃除に苦しめられるなか、9番手という後方からのポジションでラリーをスタートしたミケルセンがベストタイムで発進することになった。

 ミケルセンはリヤバンパーが半分外れてフィニッシュしたが、彼はなにが起きたのか気付かなかったようだ。「クリーンな走りができて、ミスも無かったよ。満足している。もっとプッシュできたかもしれないが、最初のステージとしてはクリーンな走りができた」

 SS1を終えて1.3秒差の2位につけたのはシトロエン・レーシングのクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)。彼もまた6番手というスタートポジションがタイムの味方をしたが、驚きはコースオープナーとなったワールドチャンピオンのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)だ。路面にたまったルースグラベルの掃除をしながらも3番手タイムでスタートすることになった。

 ミケルセンは続くSS2イーストバンク、SS3シャーウッドでもほかのドライバーがきれいにした路面で連続してベストタイムを奪い、朝のループを終えて16.6秒をリードすることになった。
 
 ヒュンダイi20クーペWRCでの3戦目のラリーとは思えないほど一体感のあるスピードをみせるミケルセンに対して、その後続グループには小さな波乱が襲い掛かる。2位につけるミークはSS2ではバンクに接触してフロント左タイヤに深い切り傷を負いながらもここでも2番手タイムで続くことになったが、SS3でオーバースピードのためにコースオフ、あわや立ち木にクラッシュするところだったが、どうにか木立の隙間にマシンを止めて難を逃れることに成功、2位をキープしてサービスに戻ることになった。

 ミークのわずか1.1秒差の3位には、「自分の仕事に惚れ惚れだ」と語る彼のチームメイトのクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)が浮上してきたが、オープニングSSで3番手タイムを奪ったオジエはSS2でパドルシフトが効かなくなり、マニュアルでギヤを操作することになり、10秒を失って7位に後退してしまう。パドルシフトは電気系に問題があったことがわかり、彼は修理してこの日最長のSS3をスタートするも、多くのルースグラベルに阻まれてしまい16秒をロス、首位から28.8秒差の8位まで順位を落としている。

 オジエに続く2番手のロードポジションでスタートしたティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)もSS2を終えて3位につけたが、ダスティな路面でグリップに苦しんでタイムが伸びず、ブリーンに抜かれて朝のループでは4位となっている。

 コフスハーバーのデイサービスを挟んで午後のループもミケルセンのスピードは変わらない。SS4ピルバラで4つめのベストタイムを奪ったあと、SS5イーストバンクでは0.1秒差でベストタイムをヌーヴィルに譲ることになったが、この日最後のロングステージとなったSS6では5つめのベストタイムを奪い、2位につけるミークに20.9秒差をつけることになる。

 好調のミケルセンに対して後続は午後のループになってもなかなかペースが上がらない。ミークは多くのドライバーが朝のステージでマシンにダメージを負うことになったSS4ピルバラのステージでフロントのディフューザーを破損、じわじわとタイムをロス。朝のループを3位で終えたブリーンもこのステージをスタートした直後に右リヤタイヤがリムから外れるトラブルに見舞われ、つづくSS5でペースをヌーヴィルに抜かれて4位と順位を落としている。

 ヌーヴィルは、この日、残されたコフス・ハーバーの1.27kmのストリート・ステージの2回の走行でも好タイムを連発、ミークを抜いて2位に浮上、首位を快走するミケルセンから20.1秒遅れの2位に浮上、ヒュンダイ勢が1-2で初日を終えることになった。

 3位に落ちたとはいえミークもヌーヴィルからはわずか0.8秒差、さらに9.1秒後方にはトヨタGAZOOレーシングWRTのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が続いている。

 ラトバラはオープニングSSのラフなセクションでフロントバンパーのリップスポイラーを破損したため8番手タイム。朝のループではペースが上げられず、さらにSS4でもスタートして3km地点でポールにヒットしてフロントガラスを壊すなど災難が続いたが、彼は終盤に連続して3番手タイムを奪い、4位まで順位を戻しているが、0.9秒後方にはパンクが悔やまれるブリーンが5位で続いている。
 
 オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)はSS1でリヤ・ディフューザーをなくしたためにハンドリングに苦しみ、朝のループでは5位に終わることになった。午後のステージで挽回を果たす計画だったが、彼はふたたびリヤのディフューザーを失って6位まで順位を落としてしまった。

 ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)はペースノートの問題から朝のループを終えて7位とペースが上がらなかったが、午後になってクリーンな路面で5位まで挽回する。しかし、ソフトタイヤのチョイスが徒となり、終盤に失速、7位でこの日を終えることになった。

 8位という不本意なポジションでこの日を終えたのはオジエだ。彼は路面掃除という課題に加えて、午後のループでもふたたびパドルシフトの問題に見舞われたため47.9秒という致命的なビハインドとなっている。

 SS1でパンクのために11位と出遅れたステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 WRC)は、午後のループでもふたたびパンク、初日は9位と厳しいスタートとなっている。前戦ウィナーのエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)はドライコンディションにおけるグリップ不足に苦しみ1分13秒遅れの10位となっている。また、エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)はSS2でパワーステアリングを壊して1分をロス、どこかからパワステオイルが漏れているものの、原因を突き止めることができずに朝のループだけで3分あまりも遅れ、初日は11位に沈むことになった。

 明日の土曜日は48.89kmというラリー最長のナンブッカ・ステージから始まる長い一日となる。サービスがおかれるコフスハーバーでは夜になって海から湿った空気が流れ込み、小雨がぱらつき始めており、明日もかなりの確率で雨になりそうだと天気予報は伝えている。