WRC2016/11/18

ミケルセンがオーストラリア初日をリード

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 2016年世界ラリー選手権(WRC)最終戦ラリー・オーストラリアは、11月18日金曜日に初日を迎え、フォルクスワーゲン・モータースポーツのアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)がチームメイトのセバスチャン・オジエを15.4秒引き離して首位に立っている。

 最終戦が行われるニューサウスウェールズ州の東海岸エリアには今週、月曜日にはかなりまとまった雨が一時的に降ったものの、火曜日以降は晴れて気温も30度を超える日が続いたことから、路面は完全なドライ、かなり多くのグラベルが積もったダスティなコンディションとなっている。

 快晴となったオープニング SSのユタンガンでは1番手スタートのセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が早くも4.4秒遅れの6番手タイムに沈むなか、ミケルセンがトップタイムで発進することになった。これに1.3 秒差でオット・タナク(フォード・フィエスタ RS WRC)、さらに0.1秒差でティエリー・ヌーヴィルとヘイデン・パッドンの2台のヒュンダイi20 WRCが追い掛ける展開で初日は始まることになった。

 だが、最終戦での優勝候補の一人と見られていたヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)が橋を越える右コーナーでワイドになって欄干に接触、左リヤサスペンションのブラケットを壊してしまう。タイヤが斜めになってしまったマシンで彼は27.4秒をロス、ロードセクションで修理をして次のステージへと向かうものの、完全に直すまでには至らず、彼は痛んだサスペンションで忍耐を強いられることになり、朝のループを終えて7分47秒もの遅れを喫することになってしまった。

 ミケルセンとともに好調なスタートを切ったのはパッドンだった。多くのミシュラン・ユーザーがソフトコンパウンド5本をチョイスするなか、ただ一人だけ彼はハードタイヤを2本選択、オープニングステージを3番手タイム、SS2ではトップタイムを奪って0.6秒差ながらミケルセンを抜いて首位に浮上してきた。

 ニュージーランドからやってきた100人を超えるファンクラブの声援に支えられ、パッドンのギャンブルは成功したにも見えた。だが、SS3ではトップタイムを叩き出したミケルセンが首位を取りかえし、パッドンも1.1秒差で続いたが、外気温はますます上昇してきたSS4ではフロント・ハード+リヤ・ソフトの組み合わせがかえって災いすることになり、彼は数回スピンしそうになったばかりか、バンクにも乗り上げてしまう。彼は朝のループを終えて2位こそキープしたものの、ミケルセンからは14.2秒遅れとなってしまった。

 いっぽう、パッドンとともに朝のループでハードタイヤを選択したのはDMACKタイヤのタナクだった。オジエが VW勢にとってこの週末の最大のライバルになると予告したタナクだが、SS2までは好調なペースでトップ3に食らいついていたものの、SS3でデフに問題を抱えてペースが上がらない。彼もまた朝のループを終えて8位まで後退してしまった。

 いっぽう、ライバルたちの不運を尻目に、快調なペースを築いて朝のループを制したミケルセンは、午後のループの最初のステージでもこの日3 度目のベストタイムを叩きだして発進、パッドンとの差をじわじわと引き離しにかかる。パッドンも差を縮めるべくペースを上げようとするが、午後になって30度を超えた気温のなか、かえってタイヤを傷めてしまって失速、SS9ではオジエとともにヌーヴイルにも抜かれて 4位まで後退してしまうことになる。

 ミケルセンはSS8ではアンダーステアとオーバーステアが交互に訪れる問題に見舞われ、さらに水筒が足元に挟まるあわやの瞬間があったほか、SS9ではフロントからオイル漏れ発覚するなどヒヤリとした出来事が終盤に連続することになったが、この日の最後に2回の走行が行われたディスティネーション NSWスーパー SSでも堅実な走りでまとめ、オジエに対して15.4秒をリードして初日を終えることになった。

 いっぽうオジエは朝のループこそミケルセンに対して20秒近い遅れをとったものの、午後のループではこの日最長ステージとなる25.30kmのニューリーのステージを含め4つのステージでトップタイムを奪って16.8秒差まで詰め寄ってフィニッシュ、「失うものはなにもないので明日も一日全開で攻める」と逆転にむけて闘志を燃やしていた。

 初日3位につけるのはヒュンダイのヌーヴィル。ドライバーズ選手権2位につける彼はオジエにつづく2番手のポジションでの走行となったが、オジエがクリーンにしたラインですらオジエと同じペースで走るとリヤがスライドすると頭を抱えることになった。選手権を争うミケルセンが首位にいるものの、このまま 3位をキープできればヌーヴィルの選手権2位が確定することになる。

 とはいうものの、彼の後方わずか1.2秒差にはチームメイトのパッドンが続いており、表彰台をめぐるバトルはまだまったくわからない状況だ。

 タイヤの摩耗に苦しみながらも Mスポーツ・ワールドラリーチームのマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)が初日5位、チームメイトのエリック・カミリーが3.3秒差の6位、カミリーから3.6秒差の7位にはダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)が続いている。ソルドは朝のループでは好ペースをみせて4位につけていたものの、ロードセクションでタイヤを替えたあとTCインの時間を間違えたことによる20 秒のペナルティが響いて後方に沈んでいる。

 また、タナクは7位でのゴールを目前に一般道における速度をめぐって警察との混乱があったためにSS10のスタートに4分遅れ、40秒のペナルティを受けることになり初日は8位となっている。