WRC2016/11/20

ミケルセン最終戦で優勝、オジエは痛恨スピン

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 アンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)とチームメイトのセバスチャン・オジエによる優勝争いが注目された2016年世界ラリー選手権(WRC)最終戦のラリー・オーストラリアは、激しく追い上げていたオジエがスピンで逆転のチャンスを失い、ミケルセンが今季2勝目を飾るとともに、フォルクスワーゲンにとっての最後のラリーを勝利で締めくくった。

 ラリー・オーストラリアの最終日は31.90kmのブッカのステージを含む5SS/57.18kmという短い一日だ。二日間にわたってラリーリーダーを守り切ったミケルセンだが、土曜日のクラッチペダルトラブルでそのリードを大きく失い、オジエとの差はわずか2秒。勝負の行方はまったくわからなくなっている。オープニングステージとなった6.20kmのセトル・リバースではミケルセンがベストタイムで発進するも、オジエが0.6秒差で続き、二人の差は2.7秒差となったものの、次の31.90kmのブッカ・ステージでドラマは急展開を迎える。

 最後のヤマ場とされてきたこのステージでミケルセンの14秒後方の3位につけていたヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)がミッドポイントでワイドになってバンクに接触、左リヤタイヤがリムから外れる不運に見舞われてしまう。パッドンはトレッドが完全になくなるほどの状態でゴール、ここで54.8秒を失い、順位を2つ落として5位まで後退してしまった。

 さらにその後方ではトップ争いをしていたオジエにもまさかの異変が発生する。ミッドポイントのスプリットタイムではミケルセンを2.3秒も上回り、このステージでの逆転も可能と思われたが、なんと彼はゴールを目前にしてスピン、狭い林の中のセクションでダストにも視界を阻まれたために切り返しに手間取り、彼はここで19秒をロス、トップタイムを奪ったミケルセンとの差は致命的な22.2秒へと広がることになった。

 ミケルセンはSS22セトル・リバースでもこの日3つめとなるベストタイムを重ね、最終ステージのウエディングベルスでもしっかりと首位を守りきり、ポーランドに続く今季 2勝目でシーズンを締めくくることになった。

「シーズンを完璧な最後を迎えることができた。僕らには失うものはなにもなかった。今年は選手権のためにドライブしてきたが、ここではただ勝利のためだけに走り、どれだけ僕らが速いのか見てみたかったんだ。このチームとマシンを見るのがこれで最後なのは悲しいよ」とミケルセンはゴールで語っている。

 14.9秒差の2位に終わったオジエは、「最後は楽しんで走ったよ。素晴らしいチームに感謝したい」と語り、去りゆくチームへの別れを惜しんでいた。

 3位表彰台にはティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)が立ち、2013年以来、3年ぶりにドライバーズ選手権2位でシーズンを終えることになった。また、パンクで勝利のチャンスはなくなったものの、最後まで優勝を諦めずにペースを上げたパッドンが4位、チームメイトのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)がマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)を抜いて 5位でフィニッシュした。

 また、チームメイトのエリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)はSS21で横転、最終戦の完走はならなかった。