WRC2021/01/22

ラトバラ、モンテでキャリアの新しい章をスタート

(c)Toyota

 ヤリ-マティ・ラトバラは、今週末のWRCラリー・モンテカルロでトヨタGAZOOレーシングWRTのチーム代表として自身のキャリアにおける新しい章をスタートした。

 ラトバラは前チーム代表のトミ・マキネンが退任の発表を行なってすぐ、彼のもとに思わぬ電話があり、そこからこの新しい冒険がスタートすることになったと明かしている。

 彼はこれがまたとない機会であることを理解し、30秒間に自身のドライバーとしてのキャリアにピリオドを打つことを決めたと語った。

「11月の本当に終わりにその電話がかかってきたんだ。そして彼らは、僕がトヨタGAZOOレーシングのチーム代表になってはどうかと? 言ってきたんだ」と彼はWRC TVに語っている。

「それについては30秒考える必要があった。ドライバーだから、ドライバーとして考える、そうなるとまだまだ自分が走りたいっていう思いがある。でもその一方で、一生に一度あるかないかの素晴らしい仕事がオファーされているわけだ。だからもちろん絶対に受けたかったし、その時間でもうWRCではもう走らないと決めたんだ」

 もちろん、この新たな挑戦には責務も伴うものだ。2013年〜16年にフォルクスワーゲンで同じチームだった7度の世界王者であるセバスチャン・オジエは、いまはもうチームメイトではなく、チーム代表と部下という立場になる。しかし、ラトバラはその関係に楽観的であり、期待される結果をもたらしてくれるとドライバーたちの能力に絶大な自信を持っている。

「WRCで今までこんなことがあったかどうかは聞いたこともないさ」とラトバラは微笑んでいる。

「元チームメイトだったのに、ある時突然1人がもう一人にとってのチーム代表になる。かなり特殊なシチュエーションではあるけど、セブとは非常に良好な関係を築いているし、何年も一緒に仕事してきているからね」

「彼は極めてプロフェッショナルで、タイトルも獲得してきた。実際彼には何も言う必要がない」

 オジエは先週、ギャップの東にあるサンタンドレ・ド・ロザン地区でのテストで高速コーナーで木に衝突してそのまま斜面から落ちるというアクシデントに見舞われている。

 オジエとコドライバーのジュリアン・イングラシアは病院に運ばれて検査を受けているが、幸いにも事故による怪我はなかった。ラトバラは、オジエがその後アクシデントについて謝罪したと語っている。

「彼はテストでアクシデントに遭ったあと、僕に『話がしたい』とメッセージを送ってきた、それで僕は『もちろんだ』と返したよ」とラトバラは述べている。

「オジエは話し合いの中で『この時点で、ボスに謝罪するべきだと思う、僕はミスを犯した』と言ってきたので、僕は、『問題ないよ、自分も同じことをしてきたからね』と言ったんだ」とラトバラは続けた。

「僕は『君は7度世界王者になっている、選手権を獲る方法を分かっている、君が何をすべきか、僕が教えることはできない』と言ったよ」

 チームメイトとして活動していた当時、オジエは常にラトバラを上回り、より輝きを放っていたことから、彼らの新しい役割において潜在的な不安も心配されるが、それでもラトバラは、成功につなげていけるような尊重しあえる雰囲気を作っていけると確信したようだ。

「彼は、選手権を勝ち取るために何が必要とされるのかを彼自身がいちばん良く分かっている」とラトバラは語っている。

「僕が彼のために唯一できることといえば、我々のチームがクルマの信頼性を確保するための開発と作業が確実に行なわれるようにし、それぞれのイベントで強力に戦えるように、問題が起きないようにしていくことだ。僕が影響を与えられる最大の部分がそこだ」