WRC2017/07/14

ラトバラが語る2017年WRカーの空力効果

(c)Toyota

(c)Toyota

 TOYOTA GAZOO Racingのヤリ-マティ・ラトバラが、wrc.comのインタビューにおいて最新WRカーのエアロダイナミクスの効果について説明している。

 トヨタ・ヤリスWRCは、2017年スペックのWRカーのなかでももっとも斬新なエアロをもつが、ラトバラは新しいエアロのおかげで安定したコーナリングが可能となったと語っている。

「F1を見ると、この20年の間にどれほどウィングが変化してきたが分かる。90年代前半まではそれはとてもシンプルな構造だったが、ラリーでも同様の現象が起きている。現在ではウィングの上にさらに小さなウィングを重ねられ、とても曲線的でモディファイされたものになっている。リヤスポイラーによる効果は時速60km以上になると出始める。イメージできると思うけど、クルマが加速していって気流が起きると、このリヤスポイラーによってクルマのリヤの部分にダウンフォースが発生する。こうしてリヤにダウンフォースがかかった状態でコーナーに進入すればクルマが安定してモーメントが抑えられる。このようにクルマが動くのは良くないわけで、こういう状態だと速度の速い道ではどうしても、クルマが安定しないと浮き上がってしてしまうという不安感でためらいが生じてしまう」

「だからこそ、安定したブレの少ないクルマが求められ、リヤスポイラーへのエアフローがその役割を果たしているが、だけどそれはリヤにだけ限られた話ではなく、それと同様にフロントも下へ抑えなくてはならない。リヤだけを抑えても、フロントがこうして浮き上がってしまえば、モーターボートと同じ状態で、それではコーナーに入って曲がらなくなってしまう。だからそのためにフロントバンパーに修正が加えられ、フロント用のスプリッターが形成されている。そしてスプリッターによる空気抵抗で、バンパーのサイドへのモディファイによってリヤと同時にフロント側もダウンフォースで抑えられ、コーナーに進入した時にターンを開始してもブレなくなるんだ」

 ラトバラはこれまでナーバスだった高速コーナーがエアロによって非常にスムースになったと説明している。

「(大きなエアロによる2017年スペックでも)ストレートでは、最高速はほとんど変わらない。エアロが大きくなり、空気抵抗も大きくなったが、それをパワーで補うことができるからだ。でも最も大きな違いはコーナーで生じる。2016年のラリーカーでは、出口に向かってタイトになっていく高速の右コーナーでは、リヤが振られて完全なオーバーステアになってしまうようなケースも、2017年スペックのクルマだと、非常に高速のままスムースにいける」