ERC2017/10/08

ラトビア初日、カイエタノビッチがERC 3連覇確定

(c)ERC

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 ラトビアで開催されたヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)最終戦ラリー・リエパーヤは、雨によって難しいコンディションとなり、選手権を争うブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)が最後のストリートステージでクラッシュしたため、LOTOSラリーチームのカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)の史上初の3連覇が確定することになった。

 ラリー・リエパーヤの首位争いは、この日に20歳の誕生日を迎えた地元ラトビアのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)(写真左)とわずか一週間前に17歳になったばかりのカッレ・ロヴァンペラ(フォード・フィエスタR5)という若い二人のドライバーによる一騎打ちとなっており、グリアジンが8秒をリードする展開となっている。
 
 雨によってウェットコンディションとなったラリー・リエパーヤの初日、柔らくなった路面には深く轍が刻まれて水たまりが多数残るなか、朝から速さを見せて首位に立ったのはアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)だ。彼はSS2でグリアジンをパスして首位に立つや、SS3でも連続してベストタイムを奪い、オープニングループで5.2秒差をつけることになった。

 グリアジンの後方わずか3秒差には朝からハンドブレーキに問題を抱えるロヴァンペラが続き、慎重な朝を迎えたカイエタノビッチはそこから36秒あまりも遅れた4位で続くことになったが、選手権で唯一逆転の可能性を残すマガラエスは24秒後方の9位と出遅れている。

 それまで首位を快走してきたルクヤヌクに異変が生じたのはSS5だった。彼はステージで電気系のトラブルのためにエンジンをストップ、リセットしてステージをゴールしたものの3分あまりも失って10位に後退してしまう。

 これで首位に浮上したのはグリアジン、2位でつづくロヴァンペラは午後のループではパワーステアリングが突然効かなくなる問題に見舞われ、さらにSS5ではジャンクションをオーバーシュートして16秒の差をつけられてしまった。

 そして初日に残されたのはリエパーヤ市のストリートステージの2回の走行のみ。わずか1.69kmの短いステージは突然の豪雨によってコースが水びたしになっており、タイトな右コーナーでルクヤヌクがハイスピードで立ち木にクラッシュ、リタイアとなってしまう。さらに同じ場所でマガラエスも正面から立ち木にクラッシュ、この瞬間に彼のタイトルの夢は消え、カイエタノビッチの3年連続王座が決まることになった。

 マガラエスのクラッシュによってこのSS6とSS7はキャンセル、グリアジンがロヴァンペラに18.3秒の差をつけて初日をリードすることになった。

「本当に高速でアグレッシブな一日だった。2回目の走行では路面が荒れ、雨によってそこらじゅうでマシンはスライドすることになった。でも、僕らは自信をもって走れているし、いい一日になったよ」とグリアジンは語っている。彼はこのポジションでゴールすれば、初のERC優勝となり、ERCジュニアU28でも初優勝となる。

 また、ライバルのロヴァンペッラはジャンクションでの愚かなミスを後悔しつつも、それを無理して取り返そうとはせず、ここでは学ぶことが重要だと冷静に答えている。

「愚かなミスはあったが、僕はマシンを学んでおり、馬鹿げたリスクを取ろうとは思ってない。クルマのセットアップは常に変更しているが、それはますます良くなっている」とロヴァンペラは語っている。

 カイエタノビッチは59.3秒差の3位につけており、明日の日曜日には歴史的な栄光のゴールが待っている。

 4位にはポーランドのウーカシュ・ハバイ(フォード・フィエスタR5)が続き、5位と6位にはプジョー・ラリーアカデミーのぺぺ・ロペスとホセ・スアレスの2台のプジョー208 T16が2.9秒差で競っている。

 ERCジュニアU27は、地元のヒーロー、オペル・ジュニアチームのヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)がチームメイトのクリス・イングラムに25.4秒差をつけてリード、タイトルに王手を掛けている。

 またERC2は地元のヤニ・ヴォロビョフ(三菱ランサーエボリューション)がリード、世界ラリークロス選手権のレギュラーメンバーであるレイニス・ニッティス(三菱ランサーエボリューション)が3位につけている。また、選手権をリードするゼリンド・ミレガリ(三菱ランサーエボリューション)が5位、4ポイント差でおいかけるライバルのティボール・エルディJr(三菱ランサーエボリューション)が4位につけており、タイトル争いは大接戦になっている。

 また、併催されるラトビア選手権ではペター・ソルベルグの息子のオリヴァー・ソルベルグ(プジョー208 R2)がLRC3クラスに参戦、地元期待の若手マルティンシュ・セスクス(オペル・アダムR2)に32.1秒差をつけてダブルヘッダーで行われる初日の選手権第6戦において優勝を飾っている。