WRC2023/03/20

ラリー後会見「日曜日は最もタフなループだった」

(c)Toyota

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―セブ、メキシコでの7回目の勝利、おめでとうございます。また恒例の勝者のブーツを履くことができますね。まだ全部持っていますか?

オジエ:「ほとんど持っている。1つはコリン(・クラーク)にあげたと思うけど、他はまだある。もちろん、履くことはないが、僕は物を捨てることに抵抗があるんだ。いろいろ集めて、もしかしたらいつか小さな博物館を作るかもしれない。先のことは誰にも分からないからね。ブーツは素敵だ。今回のブーツは、どこか切らずに脱ぐには少しきつい。でも、履けてうれしいよ」

―今週末の勝利についてお聞かせください。あなたはこれまでにここで6勝を挙げており、プッシュするタイミングと抑えるタイミングをよく知っています。エサペッカ(・ラッピ)との戦いの中で、もう少しプッシュしようと思った瞬間はありましたか?

オジエ:「正直なところ、一日目は自分のことに集中していた。この出走順なら競争力を発揮できるとわかっていたからだ。僕は冷静にエサペッカのタイムを見て、自分自身に集中し、クリーンな1日を過ごすことが最も重要だと理解していた。彼のほうが速かった。でも、その瞬間でさえも僕はヴァンサン(・ランデ)に、『まだ先は長いから僕たちのアプローチを変える必要はないだろう』と話していた。うまくコントロールして、もっと競いたかった。残念なことに彼は土曜日の朝の最初のステージでクラッシュしてしまった。僕は戦いを続けたかったので、嬉しくなかった。彼とはチームメイトだったし、僕は彼を高く評価している。こうなってしまったのは残念だが、これがラリーだ。当然、僕のアプローチはその瞬間から変わった。さらに慎重になったが、それでもリズムを崩さないようにしなければならなかった。他のドライバーはそれほど離れていなかったし、簡単にタイムを失ってしまうからね。上手くやり遂げたと思うが、でも、イベント前の記者会見では、最も長いステージを通過することになる日曜日は、今週末で最もタフなループになると危惧していたから、フィニッシュラインを通過してようやく少しリラックスできた」

―パワーステージを勝利し、現在チャンピオンシップをリードしています。今シーズンは部分参戦ですが、もっと多くのイベントに参戦する可能性はありますか?

オジエ:「この質問が来ることは分かっていたし、すでに何度も聞かれている。このパワーステージは僕がとても好きな場所なんだ。もう何度かここで勝利していると思う。正直なところ、グラベルで最後尾からスタートするのは、ちょっとだけ有利なんだ。ちゃんとしたドライブができるし、プッシュすればそれなりのポイントを獲得できる可能性があることもわかっていた。必ずしも5ポイントを取りに行く必要はなかったが、でも、次のターマックイベント(クロアチア・ラリー)に参戦するので、カッレとティエリーよりも前の出走順がいいと思っていた。だからポイントを取って、次のラリーで良い出走順を得られるようにしようと思ったんだ。チームのためでもある。僕は自分が楽しむためにここにいるだけでなく、自分が獲得出来る最大限のポイントをトヨタに与えるためにいるからね」

―次のクロアチアは難しいターマックイベントですが、なぜそこを選んだのですか?

オジエ:「今回はもう少しスムーズな展開になればと思っている。この参戦は、チームとの話し合いの末に決まったものだ。彼らはターマックでの僕の調子を見て、僕がチームにとって良い戦力になるイベントだと判断した。必ずしも僕が選んだわけではなかったが、喜んで承諾した。いい思い出があるし、再びクロアチアで走れるのはうれしい」

―ティエリー、最終ステージまで2位争いがもつれ込みました。エルフィン・エヴァンスとの素晴らしいバトルでしたが、2位を獲得出来て、どんな気持ちですか?

ヌーヴィル:「間違いなく素晴らしい戦いだった。エルフィンが諦めず、懸命に戦っていたことは誰の目にも明らかだっただろう。非常に難しいラリーになることは分かっていた。セクションはとても難しく、非常に高速な場所もあった。良いスピードが出せるところもあれば、ついていくのに必死なところもあった。誰もミスをしなければ最終ステージまで戦いがもつれ込むことは分かっていたし、実際にそうなった。本当に正直に言うと、ロングステージに入ったとき、あと2つしかステージがないので差をつけるのは難しいだろうと思っていた。でもその後、明らかにエルフィンがトラブルに見舞われたので、もう一度行くチャンスがあると思ったんだ。というのも、その時点ではパワーステージのためにタイヤを温存するつもりだった。でもまたチャンスがあった。だからそれに賭けた。そして、それが功を奏した・・・」

―あなたがステージエンドで話すまで、私たちはエルフィンに起きた問題に気付きませんでした。

ヌーヴィル:「彼がまだ全開で走っているのを見て、本当に度胸があるなと思った。アームが折れていたのを、彼はマスキングとタイラップで固定したんだ。最終的に、そんなに自信があったわけではないと知ったけれど、でも、もし僕が同じ立場だったら、運に身を任せることが必要で、彼はそれを実行し、それがうまくいって最後まで戦い抜いた。僕たちは今週末の仕事を誇りに思うことができる。今週末はセバスチャンが強敵になることは分かっていた。ダニとエサペッカがセバスチャンを苦しめてくれることを期待していた。総じて、僕にとっては楽しい週末だったし、ドライブをとても楽しめたよ」

―これによりチャンピオンシップの順位はとても興味深いものになっています。次のクロアチアが待ち遠しいですか?

ヌーヴィル:「そうだね、楽しみだ。クロアチアには2回参戦し、どちらもリードしていた。1回目はタイヤチョイス、2回目はオルタネーターに問題があったので、今回の目標は間違いなく勝利だ。しかし、他のチームのラインアップを考えると、簡単でないだろう。エキサイティングな挑戦になることを楽しみにしている。クロアチアの道路は大好きだ。非常にやりがいがあって、とても楽しい。今週末のように快適に走れれば、またいい戦いになりそうだ」

―エルフィン、総合3位です。パワーステージではうまくいきませんでしたが、午前中はとても興味深いものでした。ステアリングアームの問題はどのあたりで発生したのですか?いつ気がつきましたか?

エルフィン・エヴァンス:「ロングステージのフィニッシュの3km手前のところ、ブレーキングで衝撃があったんだ。その時にステアリングが少しだけズレていることが分かったんだけど、まさかあんなにことになっているとは思いもしなかったよ。ちょっとがっかりだったね。とにかくその状態でやれることをやるしかなかった」

―あなたはなかなかメカ優秀なメカニックですね。それはサービスパークでもよく知られています。もしかすると持たないかもしれないとは思いませんでしたか?

エヴァンス:「ビクビクだったよ、それはもう。あのようことはどっちに転んでもおかしくないからね。僕たちはできることをドライして様子を見ることにしたんだ。パワーステージでは全開だったとは言えない、ケアをしなければならない要素があったからね。悪い状態のディップとかジャンプがあれば、少し注意していかなければならない。極力タイムを失わないようにはしていたけど、2位を死守すること、ノーポイントでここからは帰れないというところの微妙なバランスだった。最終的には0.4(秒)足りなかったよ!」

―この週末を振り返って、どうですか?

エヴァンス:「比較的満足しているけど、完全に納得できてはいない。もちろん、僕たちよりもまだまだ速いチームメイトがいるわけだし、完全に満足するなんてことはない。とはいえ、ドライビングやクルマのフィーリングの面では正しい方向に進んでいるようだ。ギリシャ以降、チームのみんなが改善点を見つけていくために懸命に取り組み続けてきてくれた。彼らには本当に感謝している。もちろん、仕事がすべて終わったわけではない。状況は常に改善されている。

―次はクロアチアのターマックが控えています。それについてはどう考えていますか?

エヴァンス:「僕の好きなラリーだ。素晴らしいステージがいくつもある。簡単ではないのは確かだ。グリップは変化するし、もしかすると天気があまりよくないかもしれないと特にそうだ。非常にチャレンジングになる可能性がある。僕はこれまで結構いい結果を残している。楽しめることを期待しているよ」

―グラベルで大きなステップアップですね。もちろん、チームはこの勝利を喜んでいると思いますが、チームがこうしてステップアップできたことをあなたは喜ばしく思っているのでは?

ヤリ-マティ・ラトバラ:「もちろんだ。このイベントに臨むにあたっていろいろと疑問な部分があったので、我々のエンジニアが素晴らしい仕事をしてくれたよ。昨年のギリシャやサルディニアではパフォーマンスを発揮できなかった。クルーのために優勝を目指して戦えるようなクルマを準備するのも大変だったからね。こういう結果を得るために、我々は正しい方向に正しい歩みを進めてきた。こうしてここにいることができて、エルフィンが3位を獲ることができたのは、ケーキの上んもアイシングでさらに豪華になった感じでいい。それにカッレが4位でフィニッシュできたのは、彼の選手権のためにも良かったよ」

―選手権ランキングはさらに接戦になっています。見てワクワクしますね?

ラトバラ:「確かに、3ラウンドを終えてこれほどまでに接近した選手権は、長いこと記憶にないかもしれない。非常にハイレベルなドライバーがいて、皆にとっては非常に面白い状況だ」

―3年ぶりにメキシコに戻ってきたわけですが、この週末、ここに戻ってこられて良かったです?

ラトバラ:「もちろん、戻ってこられて良かったよ。気づいたことは、例年より少し人が少なかったことだ。これまで選手権の常連だったので3年ぶりの開催ということだったのかな。ここメキシコにはたくさんの情熱があることをを知っている。それ以外は、本当にいいイベントで良い雰囲気で、ドライバーたちも楽しんでいた。難しいイベントではあるが、選手権にこういうイベントは必要だ」

(フロアからの質問)
―オジエ、あなたはパワーステージではもちろん特別な存在ですが、空港までの移動方法も特別ですね。バイクで出発するのですか? それとも、今回は自分専用の飛行機を持っているのでしょうか?

オジエ:「今年はラッキーだった。タイミングが完璧で30分早いので、自分の『飛行機』に乗る時間がたっぷりある。空港までのエスコートは必要ないよ!」