ERC2021/06/21

ルクヤヌクがERC開幕戦ポーランドで優勝

(c)ERC

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 2021年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)開幕戦のラリー・ポーランドは、サンテロック・ジュニアチームのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 Rally2)が100周年のメモリアルイベントで優勝を飾り、3度目のERC王座に向けて好スタートを切っている。トークスポーツWRTのアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRally2エボ)は最終日に2つのベストタイムを奪ってチャージしたが、18.4秒届かなかった。

 ラリー・ポーランドの初日、5つのベストタイムを奪って40秒以上ものリードを奪っていたニコライ・グリアジン(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)がタイヤ2本を同時にパンクしてリタイアするという波乱のあと、首位を奪ったルクヤヌクは、ミケルセンに29.7秒という大きな差をつけて最終日を迎えていたが、オープニングステージのSS9でもベストタイムを奪って発進、SS10でもペースを落とすことなく攻め続け、朝のループを終えてミケルセンとの差を34秒へと拡大する。

 それでもルクヤヌクは滑りやすい路面のステージでけっして満足したわけではなく、もっとタイムを落としたように感じていたようだ。「かなりのロスをしたと思ったけど、みんなも苦労しているようだね。実際、序盤は奇妙な感じで、リズムに乗るのがとても難しく、信じられないようなフィーリングだった。路面は滑りやすく、すべてが閉ざされていて、まるでこのマシンを初めてドライブするかのような感じだったよ」

 ミケルセンにとって重要なのは、ポーランドの優勝というより7月に開催されるWRCラリー・エストニアとなるため、この週末は高速グラベルラウンドのペースをつかむことが最大のターゲットとなる。

「ここまでは順調に進んでいる。大きなリスクを負ってきたわけではないが、このあとは最大限の努力をして、プレッシャーをかけ続けなければならない」と、ミケルセンはSS10のステージエンドで語った言葉のとおり、走行によって路面が荒れたコンディションになったリピートステージのSS11、12で連続ベストタイムを奪って、ルクヤヌクに22.6秒差まで接近、さらにSS13でもルクヤヌクとの差を5.2秒も縮める速さをみせた。だが、残されたのは100周年のメモリアルステージとして行われた1.96kmのショートステージのみだ。

 ここではルクヤヌクが危なげない走りで2番手タイムにまとめ、最終的にミケルセンに18.4秒差をつけて開幕戦をものにすることになった。

 ルクヤヌクは、火曜日のテストで本番車を横転させ、急遽、新しいマシンにエンジンを乗せ替え、カラーリングを施すなど作業を経てラリースタートを迎えていただけに、ドラマチックなラリーウィークを勝利で終えたことに声を弾ませていた。

「ラリーが始まる前は、映画のような極端な状況だったし、スタートしてからも本当に過酷なラリーだったが、どうにか勝利を飾ることができたよ。アンドレアスが最後までプッシュしてきたけど、僕らはわだちのあるコーナーで注意して走る計画だった。素晴らしいライバルを相手にして僕らが優勝できたことを誇りに思っている」

 ミケルセンは最終ステージで突然、2輪駆動になってしまうトラブルを抱えてひやりとしたことを告白したが、2位を守りきってゴールを迎えている。

「本当に不思議な感じだった。問題なく走ろうとしていたのに、あるコーナーで突然、2輪になってしまったんだ。でも、アレクセイもいい走りをしていたし、2位という結果には満足している。僕らはいいペースをつかむことができたし、マシンも進歩していたので、満足しているよ」

 ミケルセンから1分36秒差の3位にはORLENチーム・シュコダ・ポーランドのミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRally2エボ)が続き、地元ラウンドでERC初表彰台を達成している。

 マルツィックと表彰台を争っていた地元のヴォイチェフ・フファワ(シュコダ・ファビアRally2エボ)は4位で迎えた最終ステージの前のロードセクションでマシンをストップ、エンジンに問題を抱えながらどうにか7位でフィニッシュを迎えている。

 これによってラリー・チーム・スペインのニル・ソランス(シュコダ・ファビアRally2エボ)が4位でフィニッシュ、エフレン・ヤレナ(シュコダ・ファビアRally2エボ)との激しいバトルを制したシュコダ・ラリー・チーム・ハンガリーのノルベルト・ヘルチグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)が5位となっている。

 CHLスポーツオートのヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)もソランスと争うペースをみせていたが、エンジンに問題を抱えて終盤に失速、8位に終わっている。

 また、前日にサスペンションを壊してマシンを止めたクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20 R5)は最終日にリスタート、総合34位に終わることになったが、最終ステージでこの日3つ目となるベストタイムを奪い、MRFタイヤを勇気づけるパフォーマンスでラリーを締めくくっている。

 新たにRally3マシンの選手権に生まれ変わったERCジュニアは、ジョン・アームストロング(フォード・フィエスタRally3)が優勝、昨年のERC3王者のケン・トルン(フォード・フィエスタRally3)は初日のイグニッショントラブルのあと追い上げをみせたが4分37秒遅れの2位となっている。

 また、2輪駆動マシンによるERC3ジュニアでは、サミ・パヤリ(フォード・フィエスタRally4)が後続を4分30秒以上引き離して優勝を飾っている。