WRC2021/09/29

ルノー、次世代Rally1の完全電動化をFIAに要請

(c)Renault

 世界ラリー選手権は2022年からハイブリッド搭載による新しいRally1レギュレーションに移行するが、ルノー・スポールはすでに次の世代へのレギュレーションの切り変えとなる2025年には電気自動車を中心としたラリーピラミッドの構築をするようFIAに対して要請している。

 ルノーのカスタマーレーシングディレクターを務めるブノワ・ノジエは、間もなく導入される予定のハイブリッドRally1のマシンを「過渡期のマシンにすぎない」と表現、2025年には完全な電気自動車をラリーピラミッドに加えるレギュレーションを採用するよう、FIAに働きかけを始めていることを認めた。

「我々の長期的なビジョンは明確だ。ラリーカーの未来は、ハイブリッドですらない」とノジエは語った。

「我々にとって、次世代のマシンは完全な電気自動車だ。FIAはもう少し先見性を持って、完全な電気自動車を推進すべきだと思う」

 最近、Rally2に参加しているマニュファクチャラーからの働きかけにより、2023年のサポートカテゴリーのレギュレーション案に含まれていたマイルドハイブリッド投入の要素が削除されたが、ノジエはこの決定に困惑していた。

「FIAがRally2では引き続き100%内燃エンジンのマシンを使用すると決定したことにとても驚いている。また、来年のRally1で採用される技術にも非常に驚いている。それは私から見ると、明らかに不十分だ」

「我々はFIAと協力して次の世界(のマシン)に向けて準備する。しかし、次の世界は完全な電気自動車だ。それが我々の考えだ。そして、それが私たちルノーのビジョンだ」

 ルノーは現在、Rally4およびRally5仕様のクリオと、姉妹ブランドであるアルピーヌのA110 RGTを製造しているが、これらはすべて、ロードカーのラインアップにある伝統的なガソリンエンジンを搭載している。

 しかし、グループ・ルノーのCEOであるルカ・デ・メオは、2025年までにロードカーのラインアップに10台のEVモデルを加えることを公言しており、その中には、グループB時代のラリーで名声を博した象徴的なルノー5ターボのリバイバルも含まれるなど、メーカーとしての販売戦略は完全に電気へとシフトしている。

 ノジエは、Rally1が完全に電気化された場合でも、アルピーヌのF1プログラムが進行中であるため、ルノーが即座に世界ラリー選手権にファクトリーチームを参戦させる可能性は低いことを強調した。

 もしFIAが完全な電気自動車を導入した場合、WRCでのRally1プログラムに興味があるかという質問に、ノジエは次のように答えた。「イエスだ。だが、それは次のステップになると思う」

「アルピーヌブランドにとってF1が主要プログラムに留まるため、たとえRally1が100%電気自動車であっても、アルピーヌがRally1のプログラムに参加するとは限らない」

「しかし、Rally5、Rally4、Rally2、Rally1のどのカテゴリーであっても、電気自動車の部分は、現時点でFIAが提案しているものよりもはるかに広くなければならない」

 ルノーは、ラリーピラミッドに電気自動車を正式に採用することを推進するための最初のステップとして、来年半ばに、市販仕様の電動パワートレインをベースとしたラリーカーのプロトタイプカーを作成する作業を進めている。