WRC2022/08/23

ルフェーブルに15秒ペナルティもWRC2優勝を維持

(c)Citroen

 ステファン・ルフェーブルは、イープル・ラリー・ベルギーで、フィニッシュ後に行き過ぎたコーナーカットが問題視されて15秒のペナルティを受けたものの、WRC2での優勝についてはそのまま維持することになった。

 元シトロエンのファクトリードライバーだったルフェーブルは、ベルギー国内選手権における選手権リーダーとしてこの特殊なターマックにおける高い経験値を武器に、3日間にわたって行われたイープル・ラリーを制して、アンドレアス・ミケルセンに18.1秒の差をつけて勝利を飾ることになった。

 ミケルセンを擁するトークスポーツWRTは、ルフェーブルがSS11およびSS15のワイツハーテ・ステージの12km地点の右コーナーにおいてマシンが完全に道路から外れたコーナーカットをしていたと主張、これはWRC競技規則第19.2条が定める「従わなければならない必須のコース」に違反すると抗議を行っていた。

 ラリー・スチュワードは、ミケルセンからの抗議を正式に受理するとともに、関係者からの聴き取り調査を行うとともにビデオでの検証による審議を行い、ルフェーブルのコーナーカットがロードブックで定めたコースを逸脱していると判断した。

 これによってルフェーブルには、SS11における1回目の違反に対して5秒のペナルティ、SS15における2回目の違反に対して10秒のペナルティを課すことを決定した。ルフェーブルはミケルセンに対して18.1秒のリードでゴールしており、ペナルティによって彼のリードは3.1秒とカットされることになったが、順位の変更には至らず、ルフェーブルのWRC2優勝が守られることになった。

 コーナーカットへのペナルティについては明確な規定はなく、どのようなペナルティを課すのかについてはラリー・スチュワードの判断に委ねられている。

 2014年のラリー・オーストラリアではクリス・ミークの激しいコーナーカットによって61秒のペナルティが課せられ、彼は表彰台争いから脱落してしまったが、 2014年のラリー・ポーランドで同じようにミケルセンの過度のコーナーカットが問題となったが、スチュワードは5000ユーロの罰金を科しただけだった。

 ほとんどのWRCではストローベイルやプラスチックのボックス、あるいはコンクリートにスチールポストを埋め込んだものなどを設置して過度なコーナーカットを防いでいるが、イープル・ラリー・ベルギーでは速く走るためにはコーナーのインカットが伝統的なスタイルとなっており、ほぼすべてのコーナーにこうした物理的ななにかを置かず、事実上、自由なインカットを認めている。

 問題となったコーナーは直角の右コーナーで、ここには例外的にイン側にはディッチはなく、エイペックスのルースグラベルよりさらにイン側には道路との段差がほとんどなくクルマ1台が優に通過できるほどの草原が広がっており、ルフェーブルのマシンは4輪ともに完全に道路を外れたことから、スチュワードはロードブックで定めたコースを逸脱していると判断したと説明している。

 スチュワードはこの罰則決定書のなかで、FIAスポーティング・デレゲートであるティモ・ラウティアンネンがレッキ後にチームからの報告に基づき、主催者に対してとくに2か所については何らかの予防措置を取るべきだと強く提案したと報告している。

 ルフェーブルが違反したコーナーはこの2か所のうちの1つだったが、主催者は、候補地が多数あることと、この問題がチームによってレッキの後に提起されたため、短期間で適切な処置を講じるための材料がないことを理由に、いかなる措置も講じられなかったと説明している。しかしながら、スタート前には、競技長から前エントラントに対してロードブックで定めたコースを逸脱しないよう文書にて警告が行われている。