WRC2023/03/21

勝田、停止禁止ゾーンでストップした事情を説明

(c)Toyota

 勝田貴元とアーロン・ジョンストンは、ラリー・メキシコの最終日、フライングフィニッシュとストップコントロールの間マシンを停止したことについてFIAスチュワードから叱責を受けた。

 勝田はSS22サンディエゴのステージで、フライングフィニッシュを通過したあとマシンをストップさせてしまい、何かの問題が発生したこと思わせるように困惑している様子がWRC All Liveで中継されている。彼はステージエンドで「大丈夫だ・・・。ちょっと確認したいことがあるんだ。でも、大丈夫だ」と語っていた。

 フライングフィニッシュとストップコントロールの間はマシンを停止させることがWRC競技規則第49.1条で禁止されており、勝田はここで「およそ13秒間」車を完全に停止させたとしてイベント後にスチュワードに召還されている。

 スチュワードの報告によれば、勝田とジョンストンはトヨタのチームマネージャーを務めるカイ・リンドホルムの立ち合いのもとでヒアリングに出席、SS22のフライングフィニッシュの後、「誤ってハイブリッドボタンを押したため、システムを一瞬リセットするためにクルマを止めた」と説明、この状況に対する全責任を負い、混乱を招いたことを謝罪している。

 スチュワードはクルーに悪意があって違反をしていたものではなかったことを認め、タイムペナルティなどではなく叱責処分が適切であると判断したと説明している。

 勝田は初挑戦となったメキシコで金曜の朝、SS3で7番手タイムを、SS4で6番手タイムを記録して徐々にペースを上げていたが、SS5のグリップが低いセクションでスピン。コースオフを喫してデイリタイアとなっている。

 勝田は土曜日にリスタートしたが、出走順が3番手とグラベルラリーでは不利な早い出走順により、路面のグリップは低く、ペースを上げることは容易ではなく、未知のステージを確実に走ることを目標にして多くの貴重な経験を積みながら総合23意で完走を果たしている。

「自分にとっては全てが初めて走るステージで、何が起こるかわからない難しいラリーでした。レッキを終えた時点で自分が予想していた以上にグリップレベルの変化が大きく、グリップを100%信頼して走るのは簡単ではありませんでした」と勝田は週末をふり返っている。「クルマはとても素晴らしかったのですが、その性能をフルに発揮することができませんでした。次回はクルマからもっとパフォーマンスを引き出し、良い結果を出せるように頑張りたいと思います」

 チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは、勝田は初出場のラリー・メキシコで苦戦しながらも多くのことを学んだことが重要だったと語っている。

「メキシコは初出場でトップの選手たちのペースに近づくことが難しいラリーのひとつだ。なぜならグラベル路面はとても滑りやすく、路面のコンディションも頻繁に変化する特殊なイベントだからだ。このラリーで成功するためには、この道について学ぶ必要がある。貴元は金曜日にそのことを痛感したと思うが、何よりも重要なのは、再出走したあと、彼が多くのことを学んで将来のために経験を積むことができたことだ」