WRC2025/06/26

勝田とヌーヴィル、シェイクダウン最速を分け合う

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 2025年世界ラリー選手権(WRC)第7戦アクロポリス・ラリー・ギリシャのシェイクダウンステージが木曜日の朝に行われ、勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)とティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデi20 N Rally1)が2分37秒9のトップタイムを分け合うことになった。
 
 サービスパークがおかれるラミア近郊に設けられた3.62kmのリガリア・ステージで行われたシェイクダウンは、朝8時にもかかわらず気温は29度まで上昇、この日の気温は40度まで上昇すると天気予報は報じており、猛暑になることが予想される厳しい戦いの週末に向け、ドライバーたちのパフォーマンスを占う最初の機会となった。

 ギリシャに向けて事前テストを行っていなかったMスポーツのドライバーたちにとってシェイクダウンは重要な機会となったが、ジョシュ・マクアーリアン(フォード・プーマRally1)がシェイクダウン1回目の走行で、自身も驚いたことにトップタイムを記録することになった。

「悪くない!うん、悪くないね」とマクアリーンは語った。

 MスポーツのプーマRally1はこれまでもギリシャとの相性の良さを見せている。2022年にはセバスチャン・ローブとピエール-ルイ・ルーベが金曜日を1−2でスタートしたことは大きな驚きだったが、昨年もアドリアン・フールモーが金曜日の昼前にクラッシュするまで2位を走っていた。

 それでもマクアリーンは冷静だ。「長い週末なので、現実的に考えるよ。日曜日までたどり着くだけでも大変な挑戦になるが、結果を出さなければならないのは言うまでもないことだ。だから着実に進めていくよ」。彼は2回目の走行では自身のタイムを6秒上回ったが、クリーンになった路面でペースを上げたライバルたちから遅れ、6番手タイムでシェイクダウンを終えている。

 シェイクダウンの2回目の走行で速さをみせたのは勝田とヌーヴィルだ。勝田は昨年もシェイクダウンでトップタイムを奪ったほか、金曜日の朝もトップタイムを奪ってステージでの相性の良さをみせたが、ミスでそれを台無しにしている。

「ギリシャはマシンやタイヤにとっても大きなチャレンジングだ。タイヤにとっても厳しいだろう。路面は昨年同様荒れており、暑くてタフな厳しい戦いになりそうだ」と勝田は語っている。

 ヌーヴィルは、アクロポリスで過去に2回優勝しており、昨年も優勝を飾ってタイトルへのチャンスを大きく手繰り寄せることに成功している。選手権では50ポイントいう大差をつけられているだけに、シェイクダウンでの最速タイムが今週の活躍の兆しとなることを期待しているだろうが、彼が遭遇した埃はそうではないだろう。

「今週末は非常に厳しいものになるだろう。何が起こるか分かりません」とヌーヴィルは予測した。「ですから、しっかりとしたアプローチで、トラブルなく走り切る必要がある」

 シェイクダウンの走行は2分間隔でのスタートとなったため、とくに先頭グループは危険なほど視界が悪いなかでの走行となった。「今日のようなダストのある状況は本当にトリッキーで危険なので、(主催者が)僕たちの話を聞いて、もう少し時間をくれることを願っているよ。明日は本当に悪夢になるはずだからね」

 0.6秒差の3番手タイムにはオイット・タナック(ヒョンデi20 N Rally1)、さらに0.3秒差の4番手にはカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)、トップから1.5秒遅れの5番手にはセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリスRally1)が続いている。

 オジエから0.1秒差の6番手には好調な滑り出しをみせたマクアリーン、7番手にはエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)が続いている。

 選手権リーダーのエヴァンスは、今回も一番手でコースを走るハンディキャップを負うことになるが、今回のような過酷なラリーは彼にとって上位でフィニッシュするチャンスとなるかもしれない。「明らかに、かなり厳しい週末になりそうだ。もちろん、この順位ではいつものように厳しい状況だが、トラブルなく最後まで走りきるのもかなり難しいだろう。だから、クリーンなレース展開でいくことを期待している」

 8番手にはアドリアン・フールモー(ヒョンデi20 N Rally1)、9番手にはグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマRally1)、10番手にはマルティンシュ・セスクス(フォード・プーマRally1)が‘続き、1回の走行で切り上げたサミ・パヤリ(トヨタGRヤリスRally1)が11番手となっている。

 この後、ラリーカーは200kmほど南に位置する首都アテネに運ばれ、古代ギリシャのオリンピック競技場を再現したパナシナイコ・スタジアム前の広場で行われるスタートセレモニーのあと、アテネ・スーパーSSで開幕する。