キャリア初の優勝への期待がかかった勝田貴元は、チームメイトのエルフィン・エヴァンスと最後まで接戦を繰り広げたが、最終的には3.8秒遅れの2位でラリーを終えた。
勝田は昨年のスウェーデンでも好調な走りを見せていたが、土曜日にクラッシュを喫して優勝のチャンスを失っていた。しかし今回は、安定した走りを貫き、自身とチームのために素晴らしいポイントを持ち帰ることに成功した。
「とても複雑な気持ちです」と勝田は語った。
「チームのためにはとても嬉しいです。今週末はチームのために自分の仕事のひとつをこなし、大きなポイントをもたらすことができました。僕の目標のひとつはマシンを無事に完走させることでしたが、それができたのでとても満足しています」。
しかし、わずかな差で優勝を逃した悔しさも残る。
「その一方で、週末を通してあと一歩で優勝というところまで競っていたのに、最終的にはほんの数秒の差で負けてしまった。それはとても悔しい気持ちもあります。最後から2番目のステージでエルフィンが素晴らしい走りを見せましたが、その時、僕はまだ思い切りプッシュする準備ができていませんでした。だからステージを終えた後は複雑な気分でした」と勝田は振り返った。
親友であるカッレ・ロヴァンペラは最終ステージのゴールで、後方を走る勝田の優勝を願っていると語っていたが、惜しくも勝田は優勝にはとどかなかった。勝田はそのことを知らされ、いつか友人と一緒に成功を祝うことを夢見ている。
「カッレは親友のひとりだ。僕自身も(優勝を)願っていたけど・・・。でも、次回、もしその時が来たら、カッレと一緒に表彰台に上れたらいいね」と勝田は微笑んだ。
日曜日の最終ステージで、勝田は慎重なアプローチを選択した。午前中にはWRC初勝利のチャンスが見えていたものの、彼はプッシュしすぎると逆に望んだ結果が得られない可能性があることを知っていた。チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラとの会話は、彼の判断に影響を与えたようだ。
「彼はただ、自分のフィーリングを信じて走れと言ってくれた」と勝田は明かした。
「でももちろん、セブをはじめ、たくさんの人たちからメッセージをもらったし、最終的には絶対に完走する必要がありました。その点については(チームからも)明確なメッセージを受け取っていましたので、最後から2番目のステージではあまりプッシュできませんでした。もちろんそのことは理解できます。昨年の僕は安定した走りができませんでしたから。チームは僕に、まずはしっかりと安定した結果を出すことを望んでいたし、そうすればその後、さらに何かを求めてプッシュできるようになるでしょう。だから今回は、少なくとも1回、いいラリーができたことに意味があります。次こそは、もっとプッシュしてもいいという許可を得たい」と勝田は語った。