WRC2022/11/14

勝田貴元、母国WRCジャパンで3位表彰台を獲得

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元が、先週末に愛知県と岐阜県で開催された、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)最終戦のラリー・ジャパンにGRヤリスRally1で参戦、今シーズン2回目となる3位表彰台を獲得した。

 2010年以来12年ぶりの開催となったラリー・ジャパンは、開催地を北海道から、愛知県および岐阜県へと移動。ステージもグラベルからターマックに変わり、完全に新しいラリーとして再出発した。ラリーの中心となるヘッドクゥオーターは愛知県豊田市の「豊田スタジアム」に置かれ、そこを中心に愛知県の豊田市、設楽町、新城市、岡崎市、岐阜県の恵那市、中津川市で19SS合計283.27kmのターマックステージが設定された。

 山岳地帯を主舞台とするラリー・ジャパンのステージは全体的に道幅が狭く、非常にツイスティなコーナーが続くのが特徴ですが、一部にはかなり高速なセクションもあり、ドライバーたちはリズムやグリップの変化に上手く対応する必要があった。

 愛知県出身の勝田にとっては本当の意味でのホームイベントとなったが、他のドライバーたちと同じように、勝田にとっても初出場のラリーだったため、ほとんどアドバンテージのない状態でラリーウィークをスタートすることになった。

 ラリーは10日(木)に鞍ケ池公園でのナイトステージで始まり、11日(金)から山岳地帯での本格的なステージがスタート。天気に恵まれ路面はドライコンディションとなったが、トリッキーなステージで多くのドライバーがアクシデントに遭遇。また、いくつかのステージがキャンセルされるなど、波乱の展開となっている。

 そのような状況で勝田は序盤から好調にステージを重ね、5番手前後のタイムを記録、金曜日を首位エルフィン・エヴァンスと20.6秒差、総合4位につけるオィット・タナックと6.7秒差の総合5位で走りきることになった。12日(土)も勝田は好調を維持。オープニングのSS8で5番手タイムを刻むと、総合4位にポジションアップ。SS10では3番手タイムを記録した。

 勝田はその後、首位ティエリー・ヌーヴィルとのタイム差は開いてしまったが、表彰台を実現すべく、攻めの走りを続けている。ラリー最終日の13日(日)も早朝は良い天気となり、速さと安定性を両立した走りで勝田は総合3位に浮上、SS17では今週2回目の3番手タイムを刻んでいる。

 最後の2つのステージは激しい雨に見舞われ、路面は非常に滑りやすいコンディションになったが、勝田はトリッキーなコンディションのステージをしっかりと走りきり、チームメイトのセバスチャン・オジエに12.3秒差をつけて総合3位でフィニッシュした。

 勝田がWRCの表彰台に立ったのは、総合2位に入った2021年サファリ・ラリー、総合3位に入った2022年サファリ・ラリーに続く3回目。ターマック・ラリーでは初めての表彰台獲得となった。また、今シーズンの勝田は全選手の中でもっともリザルトが安定しており、全13戦のうち12戦でトップ8フィニッシュし、122ポイントを獲得してドライバー選手権5位でシーズンを締めくくった。

 勝田は次のようにコメントしている。

「母国開催のラリーで表彰台に立つことができて、本当に特別な気持ちです。チーム、そしてステージやロードセクションなど、あらゆるところで応援してくれた多くのファンの皆さんに心から感謝します」

「このラリーは非常にトリッキーなステージが多く、グリップレベルが大きく変化する難しい週末でした。最初は良いフィーリングを掴むことができずに悩んでいましたが、金曜日のミッドデイサービスでチームと一緒になってセッティングを変更したら、とても良い方向に向かい、クルマがより乗りやすくなりタイムも良くなりました」

「ラリーの終盤は特に難しいコンディションになりましたが、何とか乗り切ることができました。コドライバーのアーロン(・ジョンストン)に感謝したいですし、グラベルクルーのユホ・ハンニネンとクレイグ・パリーも、素晴らしい仕事でペースノートの情報面を支えてくれました」

 TOYOTA GAZOO RacingWRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラは、勝田が2度の表彰台を達成するという目標をクリアしてシーズンを終えたことをうれしく思っている。

「今年、貴元は表彰台に2回立つことを目標にしていたので、ホームイベントであるこのラリー・ジャパンで2回目の表彰台を獲得できて、本当に嬉しいよ。彼にとっても、トヨタにとっても、非常に重要な結果だと言えるす。残念ながら我々は優勝を逃したが、貴元が地元で表彰台に立ったことは、優勝と同じくらい嬉しいことだ」

「今シーズン、彼は本当に安定していたし、おそらく参戦している全てのドライバーの中で最も安定していたと思う。今回はステージのタイムも良く、他のドライバーがトラブルに見舞われたタイミングで表彰台圏内に食い込むことができた。ラリー終盤には天気が変わって非常に難しいコンディションになったが、それでも順位をキープすることができた。今回も貴元は、非常にクレバーな走りをしたと思う」