WRC2023/04/25

勝田貴元、難関クロアチアを6位フィニッシュ

(c)Toyota

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 TGR WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は、路面コンディションが頻繁に変わる難関ターマックとして知られるクロアチア・ラリーを総合6位でフィニッシュした。

 クロアチア・ラリーは2021年に初めてWRCとして開催され、今回で3年目となる。ザグレブの周辺に展開するステージは、舗装のコンディションが頻繁に、そして大きく変わることで知られ、それに伴いグリップも大幅に変化する。また、最短距離でコーナーを抜けるインカットにより、多くの泥や砂利が舗装路に掻き出され、出走順が後方のドライバーたちにとっては非常に滑りやすく、難易度の高いラリーとなる。

 雨に見舞われた昨年と比べると、おおむねドライとなった今年は比較的コンディションが安定していたが、それでも依然路面の変化を読むことは難しく、多くのドライバーがトリッキーな路面に手を焼くことになった。

 トヨタGRヤリスRally1を駆る勝田は、競技初日の金曜日の朝から順調に走行し、他の選手たちがパンクやホイールのダメージで大きな遅れをとる中、総合5位まで順位を上げた。午後の最初のステージではスピンを喫してタイムを失い、続くSS6では濡れた路面でのタイム向上を狙って選んだレインタイヤが裏目に出る形となり、総合7位に順位を下げることになったが、この日の最後のSS8では4番手タイムを記録し、総合6位まで順位を挽回している。

 競技2日目の土曜日、勝田は、初日にパンクで後方に沈んでいたセバスチャン・オジエ、カッレ・ロヴァンペラという、過去2大会で優勝経験のあるチームメイトには先行を許すことになったが、順位は変わらず総合6位のまま。最終日は、ボーナスの選手権ポイントがかかる「パワーステージ」に狙いを定めて臨み、まずは3ステージのうち2ステージで4番手タイムを記録、そして、最後のパワーステージも4番手タイムで走破し、ボーナスの2ポイント獲得に成功。総合では、3年連続となる6位で難関ターマックラリーを戦い抜いた。

 勝田は、クロアチアのターマックは天気は悪くなかったがグリップレベルが判断しにくかったとその難しさについてふりかえっている。

「苦しんだ2戦の後に、大きなミスなくクリーンな走りでこのラリーを終えることができて良かったです。過去2年間出場して、とても厳しく、難しいコンディションのラリーであることは分かっていました。今年は、天気は悪くなかったのですが、それでもどこでプッシュすればいいのか、グリップレベルを把握することが難しく、またダーティなセクションで自信を持つことも難しかったです」

「日曜日のステージは最もトリッキーでしたが、クルマのセットアップが上手くいったのでフィーリングはかなり良くなりました。クロアチアはこれで3年連続で6位となり、難しいラリーであることを考えれば決して悪い結果ではありませんが、もちろん、もっと改善していい結果を出したいと思っています。次のラリー・ポルトガルを楽しみにしています」

 TGR WRCチャレンジプログラムのインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、勝田が昨年よりずっと自信を持つことができたようだと評価している。

「貴元にとっては非常に難しいシーズンのスタートとなっていたが、クロアチアでポジティブな結果となったと思う。昨年はこのラリーで自信を持つことができなかったが、その時と比べるとトップドライバーたちとのタイム差はかなり縮まっているので、それは良いことだ。ただし、グリップの変化が多いこのようなラリーでもっと自信を持って戦えるように、さらに努力する必要があるだろう」

「それでも、ラリーを走り切り、パワーステージでボーナスの2ポイントを獲得できたことは、これまで貴元が常に自信を持って戦うことができている次のポルトガルに向けて、いい追い風になったと思はずだ」

 次戦は、5月11日から14日にかけて、ポルトガル北部のマトジニョスを中心に開催される、第5戦ラリー・デ・ポルトガルとなる。勝田は2021年、2022年と2年連続で総合4位に入り、とくに2022年は経験豊かなベテランのダニ・ソルドと最後まで激しい表彰台争いを展開しており、今年はヨーロッパ・ラウンドでの初ポディウムに期待がかかる。